東急「異彩作家のアートな電車」はなぜ生まれたか 沿線風景描いた作品をラッピング、起用の狙い

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ここから車体にラッピングする作業が始まった。当初は東横線、田園都市線それぞれの車両にそれぞれの沿線風景をラッピングする案もあった。しかし、両路線ともほかの鉄道会社と相互直通運転をしており、首都圏の広い範囲を運行する。「東急線沿線はこういう街だということが知れわたるのであれば、別々にする必要はない」ということで同じアート作品を使うことになった。

アート作品を車体にラッピングするのは簡単ではない。作品の一部が窓やドアの位置と重なり、思わぬトリミングをされてしまうと、魅力が損なわれかねない。アートを小さめに配置して隙間にリボンなどの柄を付けるといった手法もあるが、今回はアートのみのデザインにこだわった。

東急 ヘラルボニー ラッピング電車 側面
アート作品のみで車体をラッピングしている(撮影:尾形文繁)

電車にアートをラッピングする難しさ

「実は、ドアや窓の存在を考慮したときに、ラッピング電車を組み立てやすい作家さんが中島さんだったという面もあります」と、桑山さんが種明かしをしてくれた。巨大な顔だけが描かれているようなアートだと、窓やドアによって作品の一部が隠れてしまう。だが、中島氏の作品は比較的小さな要素で構成されているため、一部が隠れてもある程度の対応が可能だからだ。

人気キャラクターを使ったラッピング列車はビルの看板などと同様に、屋外広告物条例が適用され、車体に掲出できるラッピングの大きさが規制される。規制の内容は自治体ごとに異なる。東急は今回のラッピングは広告ではないと考えているが、万が一、どこか1つの自治体から「広告である」と指摘されれば、全体の運行に支障が出る。そのため広告として規制された場合も想定して、車体に掲出するサイズを決めたという。

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