今年30周年でも「なぜ飽きない?」 累計IP総収益22兆円、世界最大IP《ポケットモンスター》を支えた、「顔の力」という戦略
つまり、1025種類もあると多すぎるようにも感じるが、人間の脳はポケモンの顔を識別・記憶することが可能な処理能力を持っているのだ。
さらに、なぜそれぞれのポケモンに「性格」を感じられるのか。これにはトドロフ教授らの研究が明快な答えを与えてくれる。
人間が他者の顔を評価する際には、主に2つの軸を使うことが明らかにされている(※3、4)。「信頼性(この相手は善意があるか・味方か)」と「支配性(この相手は強いか・有能か)」の2軸だ。
この2軸の組み合わせで、私たちは他者の顔から瞬時に「性格」を読み取ろうとする。
1025匹には「1025通りの人格」がある
この理論をポケモンに当てはめてみると、驚くほど明快に整理できる。
「ピカチュウ」は「信頼性」がきわめて高い顔だ。丸く大きな目、上向きの口角、小柄なフォルム——これらは視覚的に「善意がある・安全だ」と脳に訴えるのが特徴で、先述の通り、人間の乳幼児の顔に共通する。
会ったことがないのになぜか好き、守りたいと感じる——その感覚は、信頼性シグナルが最大化されているからだ。
「リザードン(ヒトカゲ系の最終進化形)」は「支配性」が高い顔だ。鋭い牙、大きな翼、力強い配色——これは「強さ・有能さ」の印象を与える特徴の顔。
「かっこいい・強くなりたい」という感情と直結し、熱狂的なファン層を形成している。
「ミュウツー」はさらに特殊で、支配性を最大化しつつ、信頼性を意図的に下げたデザインだ。冷たさ、孤高さ、謎めいた強者——この顔の設計が、物語の中での「最強の存在」という役割を視覚だけで完成させている。
子どもも大人も「説明されなくてもこいつは違う」と感じるのは、そう顔が語っているからだ。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら