松田聖子「夏の扉」、山下久美子「赤道小町ドキッ」など昭和の名曲が多数… 「はるな愛の半生」を描く映画《This is I》が"国内外で話題"のワケ
そして物語は、性別適合医療に人生を捧げた実在の医師・和田耕治へと視線を広げます。国内で600人以上の性別適合手術を執刀する第一人者で、医療の立場から社会の偏見や制度の壁と闘い続けてきた人物です。
主人公を支える存在にとどまらず、自らもまた決断を重ねてきた当事者として描かれます。演じる斎藤工が静かな覚悟をにじませます。
ほかのキャスティングも、ハマり役が並びます。ケンジの両親役を木村多江と千原せいじが演じ、Netflix作品に引っ張りだこのMEGUMIは看護師役で登場します。監督は映画『Winny』で知られる松本優作。企画には鈴木おさむが名を連ねています。
松田聖子や山下久美子など「懐かしの12曲」
ケンジと医師の物語は、軽いテーマではありません。それでもこの映画が辛気くさくならないのは、昭和から平成にかけてのヒット曲が絶妙に差し込まれるからです。
使用されているのは全12曲。ラインナップを見れば、この作品の空気がわかります。物語の進行に合わせて名曲が並ぶさまは、どこかライブの“セトリ”を思わせます。これから観る予定の方はここから先にご注意ください。
これが実際の曲順です。
山下久美子「赤道小町ドキッ」
中森明菜「スローモーション」
プリンセス プリンセス「Diamonds<ダイアモンド>」
チェッカーズ「あの娘とスキャンダル」
松田聖子「チェリーブラッサム」
TRF「survival dAnce ~no no cry more~」
杏里「オリビアを聴きながら」
松田聖子「SWEET MEMORIES」
松浦亜弥「ね~え?」
松浦亜弥「Yeah! めっちゃホリディ」
渡辺美里「My Revolution」
松浦亜弥の楽曲が含まれているのはうなずけます。はるな愛の代名詞ともいえる“エアあやや”は、コンサート映像をダンスと口パクで完コピしたパフォーマンス。これが映画の中でも再現され、主演の望月によって見事に完コピされています。
物語の原点にあるのは、“聖子ちゃん”です。ケンジの憧れはそこにあり、松田聖子の楽曲から始まること自体に意味があります。とりわけ「夏の扉」の〈夏の扉を開けて 私をどこか連れていって〉という歌詞は、ケンジの心情と重なります。
どこか別の場所へ連れていってほしいという願いが、そのまま物語の出発点になっているからです。また母親にカミングアウトする場面で「SWEET MEMORIES」が流れると、これ以上ない選曲だと感じさせます。




















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