「寒さで人を殺す」ロシアの冷酷。エネルギー施設攻撃に地下鉄駅内で夜を過ごす、軍事侵攻4年"キーウ最悪の冬"の惨状

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若者たちが脅えるのも無理はなく、米戦略国際問題研究所(CSIS)の推計によると、2022年2月以降の死傷者はロシア軍120万人、ウクライナ軍50万~60万人に上る。

都市部への無差別攻撃でウクライナ側の民間人の犠牲も昨年来急増し、これまでに約1万5000人が死亡、約4万人が負傷した。ウクライナ全土で毎日のように戦死者や民間人犠牲者の葬儀が営まれ、町の教会や広場に掲げられた遺影は増え続けている。

修道院の壁に掲げられた戦死者の遺影(2月15日撮影:中坪央暁)

ロシアとの戦争はまだまだ続く

アメリカが仲介する停戦交渉はかろうじて継続されているとはいえ、キーウで会った人たちから進展を期待する声は聞かれず、「トランプ大統領を信用するか」と問い掛けると、「まさか!」と失笑交じりで否定された。ウクライナの人々は、トランプが侵略者ロシアのプーチンではなく、ウクライナ側に圧力をかけていることに深く失望している。

他方、ウクライナ国内の直近の世論調査には戦争疲れが顕著に表れており、4年前の調査と比べると、停戦のために「領土問題で妥協するべきではない」という回答が82%から53%に、「戦争に耐え続ける覚悟がある」は71%から65%にそれぞれ低下した。

戦時下のウクライナ現地取材は今回で6度目だが、3年前の同じく冬場にキーウに来た時の印象と対比しても、鉛色の陰うつな冬空の下、人々の疲弊感は明らかに増している。

「プーチンが言うことなど一切信用しない。仮に停戦合意してもロシアは戦力を増強してまた攻めてくる」「ロシアとの戦争は22年ではなく、クリミア併合やドンバス紛争が起きた14年から10年余り続いている。この先5年10年、あるいはそれ以上、終わることはないだろう」と話す人もいた。当地では誰ひとり先行きを楽観してはおらず、それでも人々は覚悟を持って日々を生き続けている。

集合住宅の狭い階段を上っていったタマラさんが別れ際、穏やかな表情で、しかし毅然と語った言葉が胸に残っている。「どうか、私たちをみじめな犠牲者なんて思わないでちょうだいね。私たちは今、一人ひとりできる限りの力で闘っているの。ウクライナはいつか必ず勝つのだから」。

雪の朝、職場に向かうキーウの人々(2月16日撮影:中坪央暁)
中坪 央暁 ジャーナリスト

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なかつぼ ひろあき / Hiroaki Nakatsubo

全国紙の海外特派員・本社編集デスクを経て、国際協力機構(JICA)の派遣でアフリカ・アジアの紛争地を継続取材。国際NGO「難民を助ける会」バングラデシュ駐在としてロヒンギャ難民支援に2年間従事。2022年以降ウクライナ危機の現地取材を続ける。著書『ロヒンギャ難民100万人の衝撃』ほか。
 

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