「寮の排水溝が油で詰まった…」 中国人実習生との"絶望的ギャップ"を乗り越え過去最高の売上高を生み出した町工場のリアル

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「例えば『休憩は15分で、13時20分までね』と伝えたとします。日本人なら『20分には持ち場に戻って業務再開』と理解するところ、彼らは『20分に休憩室を出る』と受け取ってしまう。その解釈の違いを埋めるのに苦労しました。また、ドアの閉め方や備品の扱い方など、日々の細かい所作についても職場のルールやマナーを1つひとつ共有していく必要がありました」

その地道な指導の結果、今では彼らの中にも「気遣い」の意識が芽生えてきたそうだ。

「計量した材料を、次に受け取る人のために近くに寄せてくれたり、使ったものを元の位置に戻してくれたり。そんな細やかな気遣いが見られるようになって、こちらとしてもすごく働きやすくなりました」

慰労会
ナニワでは慰労会を開催し、技能実習生との交流を深めている(写真:ナニワ)

同じく製造部の加藤雄輝さんは「以前と比べて、明らかに職場が明るくなった」と語る。

「日本語がわからなくても、片言で一生懸命話しかけてくれる。こちらも覚えたての中国語であいさつすると、喜んでくれたのか、中国語でたくさんの返事が返ってきて困ることもありますね(笑)」

今では、先に入社した技能実習生の先輩がメンター役として後輩の面倒を見る体制も整い、「私の仕事が半減しました」と千壽さんは笑顔を見せる。

ナニワの25年9月期の決算では、売上高が過去最高額を達成した。技能実習生が現場の人手不足をカバーし、戦力化している何よりの証左と言えるだろう。

手ざわり感のあるD&Iの「リアル」

外国人を受け入れることは、数字以外にも組織にインパクトをもたらしている。それは「公平性」に対する意識の向上だ。

「『国籍』という大きな違いを受け入れる土壌ができたことで、(相対的に小さな差異である)性別や学歴で人を判断する意識がなくなりました。例えば、あんを炊き分ける工程はかつては男性が担っていたのですが、今では女性社員が当然のように入っています」(杉本さん)

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