「寮の排水溝が油で詰まった…」 中国人実習生との"絶望的ギャップ"を乗り越え過去最高の売上高を生み出した町工場のリアル

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指定された曜日にゴミを捨てる。部屋を整理整頓する。時間を守る。日本人にとって当たり前の生活習慣が、彼らにはピンとこないのだ。「ゴミは市の指定するゴミ袋に入れて」と言っても「でも私、持ってない」「いや、自分で買うんだよ」「え? ゴミ袋を買わなきゃいけないの?」――。そんなやり取りは日常茶飯事だった。

総務部副部長の千壽(せんじゅ)和子さんも、当時を回想する。

「料理で出た野菜の皮や、炒め物の油もそのままキッチンの流しから捨てて、排水溝に詰まってしまったこともありました。高圧洗浄に多額の費用がかかってしまって……」

ナニワの皆さん
取材に応じてくれたナニワの皆さん。(左から)杉本工場長、製造部の加藤雄輝さん、鈴木紋加さん、総務部の千壽副部長(写真:筆者撮影)

しかし、毎年のように技能実習生の採用で中国を訪れる中で、杉本さんは気づいた。

「ある田舎町を訪れたのですが、横断歩道も信号もなく、車がバンバン通っている合間を縫って人が行き来している。車から平気でゴミをポイ捨てする人もいる。そんな光景を目の当たりにして、日本の社会がいかに多くのルールの下に成り立っているか、と思い知らされたんです」

逆に言えば、日本のようにルールが整備されていない環境で育ってきた人が、いきなりルールを守れるはずがない。そう気づいてから「彼らはマナーが悪いのでなく、単に知らないだけなんだ」と理解できたのだという。

デジタル活用が「言語のハードル」を下げた

「ルールだらけ」の日本での生活は、彼らにとっても窮屈極まりなかったことだろう。それでも、この国で働き、暮らす以上は遵守してもらわなければならない。そこで、ナニワでは公私にわたり、彼らを付きっきりで指導した。

寮生活をはじめとする私生活のサポートは、千壽さんが担当。ゴミの出し方から洗濯、掃除の仕方に至るまで、一から徹底的に教え込んだ。いわば「寮長」のような役回りだ。

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