アメリカ民主党「筋金入り左派」が「リベラル」を徹底批判する理由 「中間層・労働者」をトランプ支持へと突き動かした「失敗の本質」
問題は、本書も批判している『ニューヨーク・タイムズ』紙の不偏不党とはけっして言えない役割だ。
本書の原書出版(23年11月)後の24年夏のバイデン大統領からカマラ・ハリス副大統領への民主党大統領候補交代劇でも、その介入ぶりは露骨だった。
本書では、2019年8月に『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』が大々的に掲載した特集「1619プロジェクト」などを「人種的急進主義」に加担した例として厳しく指弾している。
アメリカ独立は奴隷制を守るためだったというような特集の主張は、多くの進歩派の学者らによって史料の誤読だと批判されたのに、それを無視し、かなり経ってからこっそりオンライン上の記事を書き換えるなど、不誠実な態度が露骨だった。
それがピュリツァー賞まで受賞し、学校教育現場で配付された事態に著者らも憤っている。あらためて断るが、本書著者らは右翼ではない。筋金入りの左派である。
この問題は筆者も当時、日本のオンライン・メディアで厳しく指弾した。だが、民主党の「影の政党」として党を裏から操るような新聞の報道を、金科玉条のように扱って、アメリカ分析を行っているのが、日本のメディアや知識社会なのである。
ナイーブなオバマ礼賛や民主党讃美が日本で横行する背景になっているのは、まちがいない。
「オバマケア」実は中間層に負担増
冒頭に掲げたように、民主党の純支持率は冷戦終結後の最低レベルである。本書を通読すれば、その理由ははっきりと見えてくる。「それでも評価すべきところがあるのではないか」という問いかけを受ける。
その際、一例として挙げられるのは、オバマ政権での医療保険改革(オバマケア)であるが、これも保険・医療業界との妥協で、結局、中途半端で終わった。
むしろ中間層は以前よりも高い保険料に苦しめられるような結果になったのは、本書がつぶさに指摘するところだ。
なにしろ、16年大統領選挙でヒラリー・クリントン候補の応援演説を行った夫のビル・クリントン元大統領が「まるで狂ったような制度……こんなのは世界一ばかげた話だよ」と批判したのが、オバマケアなのである(第4章)。




















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