アメリカ民主党「筋金入り左派」が「リベラル」を徹底批判する理由 「中間層・労働者」をトランプ支持へと突き動かした「失敗の本質」
本書の前半である第Ⅰ部「大分断」は、クリントン、オバマと引き継がれたニューデモクラッツの新自由主義経済政策(「ネオリベ」の側面)が、いかにアメリカの労働者階級の雇用を奪い、生活を崩壊させたかを、仔細に描きだしている。
オバマ政権下では「所得格差が1928年以来の水準に達し」た(第4章)のである。1928年は大恐慌とニューディール政策以前、自由放任経済でアメリカが繁栄を謳歌する一方で格差がすさまじかった時代である。
筆者も2016年にトランプ(・サンダース)現象が起きた後、『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティら格差問題を研究する欧米の学者集団の資料を引いて、息子ブッシュ政権時代(2001〜09年)に見られなかった激しさでアメリカ人の資産格差が広がったのを示して、なぜトランプが登場したのか、説明を試みた。当時、日本の知識社会にそれを理解する素地はほとんどなく、筆者はSNSでバッシングも受けた。
しかし、本書(第4章)を読めば、リーマン危機発生後まもなく発足したオバマ政権がウォール街のいいなりに金融業界を救済しながら、住宅ローン破産する中産階級を放置したのは、歴然としている。
メディアや専門家がリベラルを礼賛する理由
本稿冒頭に戻れば、なぜこうした実態が日本にうまく伝わらず、ナイーブなオバマ礼賛や民主党讃美が報道機関や専門家と称する人々の間ではびこるのか。
それには、ネオリベ化と歩調を合わせて今日の民主党の低調を招いた「文化戦争」の問題がからむ。
本書の第Ⅱ部「文化的急進主義」はそこに焦点を当てている。
労働運動を脇に追いやって、クリントン〜オバマ政権時代の政策を左右したのは「ハリウッド、シリコンバレー、ウォール街」とともに「環境保護団体、フェミニスト団体……」であり、本書はこれらをまとめて「影の政党」と呼んでいる。
著者らが、本書執筆時に影の政党の主役としてあげたのは、市民団体としてはブラック・ライブズ・マター(BLM)運動、メディアでは『ニューヨーク・タイムズ』紙、基金としては大富豪ジョージ・ソロスが設立したオープン・ソサエティ財団……などだ。




















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