アメリカ民主党「筋金入り左派」が「リベラル」を徹底批判する理由 「中間層・労働者」をトランプ支持へと突き動かした「失敗の本質」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1930年代の大恐慌期にルーズベルト大統領のもとで形成された「ニューディール連合」は、当時急成長した労働組合に南部の保守的白人層まで一緒になって、「人民(the people)」の政党としての民主党を支えた。

他方で共和党は「ビジネスと富裕層の党」とみなされた。日本の知識社会ではいまも、この二大政党の古いイメージが固着したままだ。

だが、長期にわたって民主党を内部から観察してきた著者らが本書で詳述するように、このニューディール連合は過去60年の間に2段階にわたって地殻変動ともいえる変容を起こし、崩壊した。

まず1960年代にヤマ場を迎えた人種差別撤廃と公民権運動の結果として、労働者階級を含む南部の白人有権者が連合から去った(このプロセスは90年代半ばで完結する)。

続く第2段階として、70年代から産業構造の転換などで労働組合が弱体化するとともに、民主党の経済政策に金融・企業エリートらが圧倒的影響力を持つようになった。

これらエリートは、労働組合に代わって政治力を増した環境保護など、さまざまな権利要求団体と結びつくようになる。

2段階の変容の結果、民主党は「新自由主義経済政策」と「社会的リベラリズム」の政党に変わってしまったのである。別の言葉に置き換えると、「ネオリベ」と「文化戦争」の政党になったのだ。

ニューデモクラッツ以降は「金権政党」に

本書が説くように、最初のネオリベ民主党大統領は1970年代後半に登場したカーターである。当時のインフレと景気停滞が同時進行する中で、新自由主義経済政策に打って出た。カーターは民主党に対するウォール街の影響力を拡大させ、レーガン大統領登場以前では戦後最も保守的な大統領となった。

民主党が見捨てだした労働者票まで取り込み、80年大統領選挙では44州制覇、さらに84年には49州制覇と圧倒的な強さを見せつけたレーガン共和党に対し、民主党は80年代に自身の「再定義」を行う。民主党指導者評議会(DLC)の設立(85年)と「ニューデモクラッツ」と呼ばれる新世代政治家らの台頭だ。

これにより、新世代民主党は労働者に見切りを付け、企業寄りの政党へと脱皮していく。衰退しつつあった製造業やエネルギー産業は古くから共和党と結びついていたから、民主党は情報技術産業、ついで環境産業といった当時はまだ財界の新興的存在だった業界と結びついた。

さらに金融政策で新自由主義的アプローチをとって、ウォール街との結びつきも強めた。やがてこれら新興産業が巨大なグローバル企業を生みだしていく。

2024年大統領選での選挙資金を見れば歴然なように、ニューデモクラッツ登場以降は民主党こそ「金権政党」なのである。

次ページオバマ政権下で所得格差が1928年以来の水準に
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事