アメリカ民主党「筋金入り左派」が「リベラル」を徹底批判する理由 「中間層・労働者」をトランプ支持へと突き動かした「失敗の本質」

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こうしたことも含めてだが、どうもアメリカの状況が日本にはよく伝わっていない。

2016年大統領選挙で突如のごとく登場したトランプ候補が破竹の勢いで共和党予備選挙を勝ち抜き、ついに大統領に当選した経緯を追っていたころから、そう感じていた。

以来、トランプ現象を追って3冊の本を上梓して、事態の説明を試みてきた。その過程で、日本の知識社会はトランプ出現の意味はもとより、民主党という政党について考え違いをしているのではないか、と思うようになった。「トランプは原因ではない、結果なのだ」ということは、口を酸っぱくして申し上げてきた。

では、民主主義を壊し、リベラルな国際秩序を崩壊させているといわれるトランプ現象という結果を生みだしている「原因」は、どこにあるのか。民主党にも共和党同様に、あるいはそれ以上に、責任があるのではないか。それを論じているのが本書である。

民主党を支えてきた「筋金入りの左派」の絶望

著者2人は民主党を敵視している右派ではない。ジョン・ジュディスは民主党を支えてきた左派の代表的な言論人のひとりであり、ルイ・テイシェイラも同様の政治アナリストだ。

ジュディスの場合は、「民主社会主義者」(欧州の社会民主主義者に近い)を自任し、テイシェイラも社会民主主義への共感を隠さない。

つまり、2人とも筋金入りの左派として長年、民主党を支えてきた。その2人が、民主党の失敗こそがトランプ現象の大きな背景だと論じ、その傲慢さを含めて「失敗の本質」を暴き出した。

2人は、現状の混迷からアメリカの民主主義を立て直すには「労働者階級および中間層の利益を最優先に考える政党の再興」が必須だと訴える。本来その役割を果たすべき民主党が、長いことそれを放棄しているからだ。

そう訴えた上で、その役割を担うのは「最終的に共和党かもしれない」ともいう。その理由は、トランプ現象を受けて共和党側に生まれた新しい「知的潮流」の方にこそ期待が持てるからだとまでいう(序論)。民主党の状況に対する彼らの絶望の深さがうかがえる。

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