さらに、キー局には、平均で60人程度のアナウンサーが在籍しているのに対し、地方局は8人〜15人ほどという「替えがききにくい」現状も、女性がアナウンサー職を離れなければならなくなるケースを加速させていると考える。
「シニア女性アナウンサー」が増えるメリット
加えて、年齢を重ねた女性アナウンサーのロールモデルは、男性アナウンサーに比べるとあまり多くはない。今でこそシニアの女性アナウンサーが第一線で活躍する番組が増えているが、20年ほど前は女性アナウンサーが結婚や出産をするとそのまま退社することが当たり前の時代だった。
また、男性アナウンサーと違い、女性アナウンサーは年齢を重ねると、「賞味期限切れ」のような扱いで他部署に移動することもよくあった。これもいまだにシニアの女性アナウンサーで活躍している人が少ない理由の1つだろう。
だが実際は、経験豊富な女性の対応力や安定感は現場の宝となる。それに今の時代は、ジェンダー問題をテレビで話しやすくなったので、コメントにも説得力を持たせることができる。それに現場も気づきはじめている。
たとえ今は見本が少なくても、今後は結婚や出産後のロールモデルが積み上がり、輝く女性アナウンサーが増えてくことは期待できるだろう。
世間が思う「女性アナウンサー」とは、目立ちたがり屋で、その完璧な笑顔で世間からチヤホヤされて、光しかない世界に生きる存在と思われるかもしれない。
けれどその実像は、誰よりも「伝える」ということに向き合い、プレッシャーと闘いながら、光の当たるステージにいながらも時には影のさす現実と向き合っている1人の働く女性だ。画面越しに見える笑顔の裏には、仕事と人生のバランスを探し続ける、等身大の姿がある。


