富士フイルム、IPfolio導入で知財DX進行中 知財戦略をアップデートする本当の狙いとは

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富士フイルムホールディングス執行役員 知的財産部長 佐久間 直子氏
ヘルスケアから半導体まで、多彩な事業を展開している富士フイルムホールディングス(以下富士フイルム)。それぞれの領域で競争力を向上させるために知的財産が果たしてきた役割も少なくない。そして今、知財部門はDXの渦中にある。富士フイルムで知財部門を率いる佐久間直子氏に知財DXに挑む背景と狙いを聞いた。

成長戦略の根幹にある知財マネジメント

富士フイルムの成長戦略における知的財産のマネジメントの重要性について、富士フイルムホールディングス執行役員 知的財産部長の佐久間直子氏はこう語る。

「企業価値を向上させる成長戦略において知財は有効な手段となるもの。これをいかにマネジメントするかは、成長戦略の根幹ともいえます」

自社の活動成果を知財権として権利化すること、加えて、他社権利を侵害しないためのリスク管理は知財部門の重要な業務だ。しかし、「知財マネジメントは権利化とリスク管理で終わりではありません」と佐久間氏は続ける。

富士フイルムホールディングス執行役員 知的財産部長 佐久間 直子氏
富士フイルムホールディングス執行役員
知的財産部長
佐久間 直子

「重要なのは事業そのものの競争力と収益性の拡大に、いかに知財を使うかということです。富士フイルムは2000年以降に、成長の軸足をヘルスケア、エレクトロニクスへと移していますが、事業ポートフォリオの転換に合わせて、知財に関する投資や活動内容も変化させてきました。現在は、新規事業、成長事業、安定市場で高い競争力を持つ基盤事業など、それぞれの事業フェーズに応じた知財活動を実施しています」

成長戦略にひも付いた知財マネジメントを推進してきた富士フイルム。そんな同社が現在、力を注いでいるのが知財DXである。興味深いのは、知財DXの取り組みはボトムアップで始まったという点だ。

「知財部門には以前から知財DXに関心が高いメンバーが少なからずいました。そうしたメンバーたちが自発的かつ横断的につながって定期的に情報交換をする場ができて、知財DXに取り組むマインドが自然に組織全体に醸成されていったのです」

もう1つの大きなきっかけが、2021年に事業会社である富士フイルム株式会社と富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の2社の知財部門を統合したことだ。

「双方の強みを生かしたシナジーを生み出すためには、単に組織統合するだけではなく、業務自体を抜本的に見直す必要があり、これこそがDXで成し遂げることと定義したのです。ちょうど生成AIが急激に進化し始めたこともあり、『今が知財業務のあり方そのものを変革するチャンスだ』と、部内にもハッパをかけ、知財部門の最重要課題の1つとして位置づけました。ボトムアップで醸成してきたマインドと、トップダウンによる加速の両輪で進めてきたことが弊社の知財DXの大きな特徴です」

知財の勝ち/価値ストーリーを考え、実行する

知財業務の変革として目指したのは、ヒトの注力ポイントのシフトだという。それは具体的にどういうことなのだろうか。

「知財活動において権利化とリスク管理は、多大なリソースを必要とします。まず、技術や開発成果を基に権利を創るプロセスにおいては自社の開発部門との間だけではなく、特許事務所をはじめさまざまな外部とやり取りをしなくてはなりません。これと同時進行で、大量の情報の中から当該の開発成果に関係する先行技術を調査し、権利としての精度を上げていく。こうした作業に多大なリソースを投入していました」

また、こうした権利を「創る」側面に加えてリスク管理として事業を「守る」仕事もリソースが必要だ。

「第三者の権利を侵害してしまうと事業そのものの継続性に影響してしまうため、すべての製品・サービスに関して細心の注意を払って、精度高く判断しています。こうした、権利を創り、事業を守るためにリソースの多くを投入しています。しかし、重要なのは、こうして得た知財を企業価値を上げるためにいかに使うか、ですから、『創る・守る』にかけていたリソースを、『(知財活用)戦略を練る』こと、そして戦略に基づいて実際に『権利を使う』ことにシフトさせていく必要があるのです。

知財活動の付加価値を高めることで、事業の競争力を強化し、事業で『勝ち』、企業の『価値』を上げる。すなわち『価値』につながる『勝ちストーリー』を考え、いかに実践していくか。ここに知財部門の価値があると考えています」

知財DXによって、これまでの「創る、守る」へのリソースを減らし、「勝ち/価値ストーリーの熟考と実行」にシフトする。まさに、知財業務のあり方そのものを変える知財DXだが、その実現のカギを握るのが、知財管理システムとその使い方だという。

「知財管理システムとAI/DXツールを組み合わせることで、どの知財業務にも登場する『大量の情報を収集・整理し、分析を行って、ドラフトを作る』という一連の作業の精度向上と効率化を実現できるのではと考えたのです」

拡張性の強さがIPfolio導入の決め手に

発明やアイデアを抽出して権利化し、ポートフォリオとして管理する一連の知財マネジメントにおいて、関わる人・扱うデータの種類・量は非常に多い。この複雑な業務フローを滞りなく実現し、かつ膨大なデータを蓄積・管理し目的に応じて検索・抽出できるシステムでなければならない。加えて、富士フイルムが目指す知財管理システムの設計思想には3つのポイントがあった。

「1つはAIを組み合わせて使うことを前提とした未来型プラットフォームの構築です。AIの出力の質を上げるには、AIへの質の高い情報の入力が不可欠です。知財管理システムへ入力・保存する情報を標準化し、高品質のデータをAIとともに用いることで、知財情報の分析・活用を高度化していくのです。

2つ目は拡張性です。知財を最大限活用するには、知財情報だけでなく、社内の売上管理データや知財に関する契約情報との連携はもちろん、外部の市場データや技術動向などとの接続も欠かせません。それにより、事業戦略に直結する資産として活用できるようになります。

そして3つ目は、事業会社2社を中心とした知財管理の統合と共通化です。それぞれ両社の業務プロセスには、そこに至るまでの歴史や組織の構造、役割分担、価値観が反映されています。それらを一方的に統一するのではなく、両社の知見を持ち寄り、『最適解は何か』という議論を重ね、富士フイルムグループの共通基盤としてのシステムに反映する必要があるのです」

これらを実現するものとして選ばれたのが、クラリベイトの知財管理プラットフォーム「IPfolio」だ。

「IPfolioのさまざまなデータと連携できる拡張性に着目しました。私どもにとって知財管理システムはAIを用いて加速する知財DXの基盤です。導入に当たってはこちらがやりたいことや要望を遠慮なく伝え、誠意を持って対応していただきました。ただ、導入で終わりではなく、スタートであり、リリース後も継続的に知財DX基盤としてパワーアップしていく予定です。今後もフレキシブルに応じていただきながら、ともに成長していけたらうれしいですね」と語る佐久間氏はクラリベイトが持つ多くのデータベースとの連携にも期待を寄せている。

「重要なのは、知財を活用し、企業の価値向上につなげていくこと」と佐久間氏は強調する。知財部門がこれからどのような勝ち/価値ストーリーを考え実行していくのか。その基盤となるIPfolioが可能性をさらに広げていくだろう。

クラリベイトとは
クラリベイトは世界180カ国以上に顧客を持つ情報サービスプロバイダー。学術や知的財産などの分野で深い専門知識と結び付いたソリューションを提供している。
「IPfolio」
クラリベイトが提供する、クラウド型の知財管理システム「IPfolio」は、数多くのグローバル企業が導入し、知的財産のライフサイクル全体を一元的に可視化・効率化することで、知財部門の業務高度化と企業価値の向上を実現している。
とくに、煩雑になりがちな知財関連業務を標準化・自動化によって、業務の属人化を防ぎ、組織全体の生産性向上に寄与。さらに、R&D、法務など他部門との情報共有を円滑にし、知財を起点とした全社的な価値創出を実現している。

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