「金ETF」選びで知っておきたい"3つの視点"とは? 「現物の裏付け」「低コスト」「高流動性」……

好きな値段で機動的に売買できるETF
価格に対する納得感は投資信託より高い
――金投資の手段の1つにETFの活用があります。まずはETFの仕組みやメリットなどについて教えてください。
ETFは、インデックスファンドと同様に特定の株価指数などへの連動を目指して運用される投資信託の一種です。証券取引所に上場しているため、取引期間中ずっと値動きしており、株式のようにリアルタイムで売買できます。
一方、通常の投資信託の取引価格(基準価額)は、1日1回、取引終了後に算出されます。取引時間中に市場の時価で売買することはできず、翌日にならないと実際にいくらで買い付けられたかわかりません。そう考えると、取引時間中であればいつでも売買できるETFのほうが、価格に対する納得感は高いでしょう。
ステート・ストリートは、1993年に米国初となるETFを設定したことから、「ETFのパイオニア」と呼ばれています。それまで一部の機関投資家しか参加できなかった市場を、ETFによって個人でも容易にアクセスできる市場へと開放し「投資の民主化」を実現しました。
金ETFなら保管料や盗難リスクとも無縁
NISAで価格上昇の恩恵を非課税で享受
――ETFの中には金を投資対象とするものもあります。金投資でETFを活用するメリットはどこにありますか。
金は実物資産としてそれ自体に価値があるため、投資を検討する際にまず候補となるのが、金地金や金貨でしょう。こうした金の現物は、まとまった資金が必要であり、自宅で保管している場合は盗難のリスクが発生します。貴金属店などに保管を依頼すると、保管料といったコストがかかります。現金化のしやすさといった流動性の面でも、必ずしも使い勝手がいいとはいえません。
金ETFは少額から投資でき、保管料や盗難のリスクとも無縁です。NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠の投資対象になっている金ETFも多く、価格上昇の恩恵を非課税で受けることができます。金ETFではなく、金の投資信託を活用する手もあります。毎月決まった額で積み立て投資したい投資家であれば、金額を指定して購入できる投資信託のほうがニーズに合っている場合もあるでしょう。
ただし、コストは、相対的に金ETFのほうが低い傾向にあります。当社には総経費率が年0.1%に抑えられている金ETFもあるので、長期保有を前提とすれば有力な選択肢になるでしょう。
「現物に裏付けられた金ETF」は
どの運用会社でも設定できるわけではない
――金ETFには複数の種類があります。金ETF選びに必要な「視点」があれば、ぜひ教えてください。
金ETF選びのポイントになる視点は、大きく3つあります。視点①は「現物の金を裏付けとしたETFを選ぶ」です。金はそのものに価値があるので、ETFのような金融商品を組成する場合でも、実際に現物を保有していることが極めて重要です。
金を投資対象とする投資信託の中身を確認すると、実際の投資先は金先物や金ETFです。間接的には金の現物に投資しているかもしれませんが、現物に裏付けられた金ETFへ直接投資するほうが、投資家にとってよりコスト効率に優れた選択肢となるでしょう。
金ETFの中にも、現物ではなく先物を投資対象としているものもあるので、よく確認する必要があります。株式や債券のようなペーパーアセットと異なり、金の現物の保有には保管場所が必要ですし、現物を調達する能力も問われます。その意味で「現物に裏付けられた金ETF」は、どの運用会社でもつくれるわけではありません。
視点②は「コストが低いこと」です。多くの個人投資家にとって金投資は、有事に備えて平時にコツコツ買い付け、長期で保有し続けるスタンスが基本です。したがって、できるだけ買い付けや保有にかかるコストが低いETFを選ぶことがリターンの向上に直結します。
視点③は「流動性が高いこと」です。これは金ETFに限らず、ETF全般に言えることですが、取引所で活発に取引されることで流動性が生まれます。取引が低調、つまり流動性の低いETFは、売買が成立しなかったり、成立したとしても買いたいときには割高で、売りたいときには割安だったりするなど、望まない金額で取り引きせざるをえない状況にもなりかねません。
流動性の高さを見分けるポイントは、資産残高の大きさです。残高が大きいほど、多様な投資家が取引に参加し、必然的に取引が活発化します。その結果、買値と売値の差(スプレッド)が狭くなり、いつでもフェアな価格で取引できるのです。
株式や債券と同様に長期にわたり
高いリターンを提供している金
――ステート・ストリートの金ETFの歴史や、金の世界組織であるワールド・ゴールド・カウンシル(以下、WGC)とのパートナーシップについて教えてください。
2004年に当社は、米国で初となる金の現物を裏付けとする金ETFを設定しました。金ETFでも当社はパイオニアであり、現在は世界中の投資家に活用いただいています。足元の運用資産は世界最大規模の約20兆円、1日の取引額は5000億円超を超えるまでに成長しました。
WGCとは、この最初の金ETFを設定時からパートナーシップを結んでいます。WGCが当社の金ETFのスポンサーとして管理業務を行い、われわれは金ETFを広く市場に流通させる役割を担っています。同時に金をポートフォリオに組み込む意義や、金ETFの利便性などを世界中の投資家に教えたり、情報発信をしたりすることも当社の重要な役割です。WGCは、金の調査会社として各国中央銀行や金ETFの需要動向をはじめとするさまざまな統計・データを公表しており、両社がパートナーシップを組むことで、金投資や金ETFの効果的な啓発活動を実現しています。
――最後に金ETFをポートフォリオに組み入れる際のポイントを東洋経済オンラインの読者へアドバイスしてください。
現在の金価格は高すぎて手を出しにくいと感じる方も多いでしょう。価格の動向を気にしすぎていると、買う機会を逃してしまいます。価格を追うのではなく、毎月決まった日に少額からでいいので、機械的に金ETFを購入していくのがいいでしょう。
ポートフォリオにおける金の適正な割合は、5~10%程度が1つの目安になります。ただし、株式100%のようなリスクの高いポートフォリオの場合は、金の保有比率をもっと高めたほうがいい場合もあります。実際に米国株に100%投資した場合と、米国株と金を半々で投資した場合を比較すると、米国株と金に分散投資した場合のほうが収益率は同等以上で、一時的な損失は緩和される傾向が見られました(図表参照)。

特に新NISAをきっかけに資産運用を始めた方の中には、S&P500指数など、米国株式のインデックスファンドに資金が集中しているケースが多いでしょう。金ETFを併せ持つことで、収益性をより向上させ、リスク耐性にも優れたポートフォリオを構築することが期待できます。今後さらに価格が上昇し、ポートフォリオに占める金の割合が思いのほか大きくなりすぎた場合は、適宜売却し元の比率に戻すこと(=リバランス)を検討してもいいでしょう。手軽にリバランスできる点も、金ETFならではの魅力です。
金ETFは「SPDRゴールド・シェア(GLD)」と「SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)」の2本があり、GLDは資産残高が世界最大かつ最も取引されている金ETF※で、スプレッド(売買価格の差)が非常に狭く、流動性が高い点が特徴だ。東京証券取引所にも上場している(証券コード:1326)。GLDMは低コストで、長期保有を重視する個人投資家向け。
※ブルームバーグ・ファイナンスL.P., 2025年9月30日時点
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コモディティ及びコモディティ指数連動商品は、市況全般の変化、金利変動や、天候、疫病、禁輸あるいは 政治及び規制といったその他要因のほか、コモディティ現物における裁定業者や投機家の取引行動により影響を受けます。ETFや投資信託を頻繁に売買した場合、売買手数料や他のコストが大幅に増加し、その結果、低いフィーやコストによる節約効果が相殺されることがあります。分散投資は、利益を確保したり、損失回避を保証するものではありません。コモディティ投資には大きなリスクを伴うため、すべての投資家に相応しいとは言えません。
<SPDR®ゴールド・シェア(「GLD®」)およびSPDR®ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(「GLDM®」)に関する重要情報>
SPDRゴールド・トラストはGLDに係る、そしてワールド・ゴールド・トラストはGLDMに係る(目論見書などの)届出書面をそれぞれ証券取引委員会(「SEC」)に届け出ています。各ファンドとも1940年投資会社法(「1940年法」)の下で登録された投資会社ではありません。そのため、各ファンドの投資主には1940年法の下で登録された投資会社の株式保有に伴う保護がありません。GLDおよびGLDMは1936年商品取引法(「CEA」)の規制対象ではありません。そのため、GLDおよびGLDMの投資主にはCEAが提供する保護がありません。各ファンドの受益権は株式のように売買され、投資リスクがあり、時価が変動します。GLD受益権およびGLDM受益権の価値は、各ファンドが保有する金の価値(経費控除後)にそれぞれ直接関係しており、金価格の変動が受益権への投資に大幅に不利な影響を与える可能性があります。時価で売買される受益権の売却に際して受け取る価格は、受益権が表象する金の価値よりも多い場合も少ない場合もあります。いずれのファンドもインカムを生じず、各ファンドは継続的に発生する経費を賄うべく金を定期的に売却するため、各ファンドの受益権が表象する金の量は時間の経過とともに相応分減少します。MiniShares®はWGC USAアセット・マネジメント・カンパニーLLCの登録商標であり、WGC USAアセット・マネジメント・カンパニーLLCの許可を得て使用しています。
<ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジあり)/(為替ヘッジなし)に関する重要事項>
投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建て資産には為替変動リスクもあります)を投資対象としているため、お客さまの資産が当初の投資元本を割り込み、損失が生じることがあります。基準価額の変動要因には、金の価格変動リスク/為替変動リスク/流動性リスク/信用リスクがありますが、リスクはこれらに限定されるものではありません。投資信託は1.預金等や保険契約ではありません。また、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。加えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象にもなりません。2.購入金額については元本保証および利回り保証のいずれもありません。3.投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなります。
<手数料・費用>
(売買手数料)取扱いの金融商品取引業者の定める売買手数料がかかります。
(SPDR®ゴールド・シェア[GLD、1326]、SPDR®ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト[GLDM]の信託にかかる費用)管理会社・受託銀行に支払う報酬、マーケティング・エージェントに支払う報酬、監査費用等があり、それぞれ年率0.40%、0.10%(GLDおよび1326、GLDM、2025年9月末時点)です。その他ETFを保有する際には、それぞれ個別に定められた費用がかかります。これらの費用は、運用状況等により変動するものであり、事前に上限額を示すことができません。当ETFの運営費用は将来にわたり変更される可能性があります。※取得のお申込みに当たっては、必ず上場有価証券等書面またはその他の開示書類の内容をご確認の上、ご自身でご判断下さい。※購入のお申込や売買手数料等につきましては、当ETFを取り扱い金融商品取引業者(証券会社)までお問い合わせ下さい。
(ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジあり/為替ヘッジなし)の運用にかかる実質的な信託報酬)年率0.2925%程度*マザーファンド受益証券を通じて投資する投資対象上場投資信託証券の管理費用等年率0.10%を含めた実質的な信託報酬率の概算値です。ただし、この値は目安であり、投資対象上場投資信託証券の実際の組入れ状況等により変動します。
<「LBMA金価格(LBMA Gold Price)」の著作権等について>
LBMA金価格は、ICEベンチマーク・アドミニストレーション・リミテッド(IBA)によって管理および公表されており、SPDR®ゴールド・シェア、SPDR®ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト、ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジなし/為替ヘッジあり)に関連する入力データまたは基準として使用されています。LBMA金価格は、Precious Metals Prices Limited の商標であり、IBA がLBMA 金価格の管理者として使用許可を受けています。ICEベンチマーク・アドミニストレーションは、IBA及び、またはその関連会社の商標です。LBMA金価格及びICE ベンチマーク・アドミニストレーションの商標は、IBAとのライセンス契約に基づきステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社によって使用されています。IBAおよびその関連会社は、LBMA金価格の使用結果や、SPDR®ゴールド・シェア、SPDR®ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト、ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジなし/為替ヘッジあり)に関連する特定の目的への適合性や妥当性について、明示的または黙示的に、一切の主張、予測、保証、または表明を行いません。適用される法律で認められる最大限の範囲において、品質、商品性、特定の目的への適合性、所有権、または非侵害に関する黙示的な条件、約束、保証を含む全ての保証をここに明確に否認します。IBAまたはその関連会社は、LBMA金価格における契約責任、不法行為(過失を含む)、法定義務違反、迷惑行為、虚偽表示、または独占禁止法違反、その他いかなる形態での責任も負いません。また、LBMA金価格またはそれに依拠することに関連して、直接的または間接的な損害、費用、その他の損失についても一切責任を負いません。
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