「みずほポイントモール」サービス実装の舞台裏 短期間で利便性の高いサービス実装を実現

「シンプル」で「わかりやすい」を目指す
みずほポイントモールは、みずほ銀行における既存の会員制サービス「みずほマイレージクラブ」をリニューアルし、レベルアップさせたサービスだ。銀行との日常的な取引でポイントが貯まり、貯めたポイントをデジタルギフトや共通ポイントなどに等価で※交換することができる。
リテール・デジタル業務部 システム開発チーム 次長
玉井秀明 氏
そのコンセプトについて、みずほ銀行の玉井秀明氏は「個人のお客さまに楽しみながら当行を使っていただくことをコンセプトにプロジェクトをスタートさせました。日常の決済や取引を通じて自然とポイントが貯まり、そのポイントを楽しく継続的にご利用いただくことを目指しています」と話す。
また、みずほポイントモールには、その利用を顧客の預金拡大や資産形成につなげたいとの思いも込められている。
その思いから、資産形成のシミュレーションツール「ライフデザイン・ナビゲーション」や資産管理ツールを使うことでもポイントが貯まる仕組みになっている。
日常の取引でポイントが貯まり、1ポイント=1円相当※でおトクにさまざまな商品と交換できる
玉井氏によれば、同サービスの開発に際しては「シンプルさ」と「わかりやすさ」を徹底的に追求したという。一般的にポイント制度は複雑でわかりづらく、消費者の多くが「ポイントは貯まっているが活用できていない」との分析結果があったからだ。この分析から「貯めやすいだけでなく、使いやすい」ことが、継続利用の促進や顧客満足度の向上のカギになると考えたわけだ。
こうした狙いのもと、みずほ銀行はサービス実装のパートナーとしてNTTデータを選んだ。NTTデータはビジネス戦略やサービスデザイン、テクノロジーやデータ活用など、あらゆる領域の変革に資するコンサルティングから開発まで一気通貫での支援において業界屈指の実績を持つ。
短期間でサービスイン
NTTデータ側で、みずほポイントモールプロジェクトの立ち上げから推進した福井裕也氏は、このプロジェクトで難しかった点やポイントを次のように振り返る。
金融イノベーション本部 グローバルカスタマーサクセス室 コンサル&セールス統括部 カスタマーコンサル担当 部長
福井裕也 氏
「当社は、サービス制度設計、デザイン、システム構築まで、一気通貫でみずほ様と共に遂行させていただきました。約1年という短期間で『一からサービスを作り上げる』というチャレンジでした。各行がサービス強化を図っている領域でもあり、開発期間中の要件変更や追加も想定されました。ゆえに、顧客体験(Customer Experience)を追求しながらも、QCD(Quality:品質、Cost:費用、Delivery:納期)をコントロールする必要がありました」
この点について玉井氏は「開発には昨年4月ごろから着手したのですが、2025年4月のサービスインが絶対条件でした。というのも、4月は入社などで新規口座獲得の機会が増える時期だからです。NTTデータさん協力のもと、開発工程の工夫や要件の実現方法に知恵を絞り、お互い柔軟かつ的確にQCDコントロールしながらプロジェクトを推進しました。無事予定通りサービスインできたのは、多くのプロジェクトをご一緒し、コンサルティングやエンジニアリング力に優れているNTTデータさんだったからこそだと思っています。サービスインまでの期間・コスト等についても、ビジネスにかなう提案力を高く評価しています」と補足する。
さらに、福井氏は、「また、このプロジェクトで一番重要視した点は、本サービスはエンドユーザー様向けであり、エンドユーザー様にとって、シンプルで使いやすく日々の生活になじむ、そしてメリットを感じていただくということです。その点をみずほ様とも共通認識を持ち、デザインとテクノロジーの融合による顧客体験(Customer Experience)を追求しました」と話し、その他の様々な工夫について以下の点を挙げる。
・ユーザーフロントシステムとして、デザインやコンテンツ等を流動的に変更できるアーキテクチャ設計(CMS等の導入)
・幅広いポイント利用機会をスピーディに提供するために、ポイント交換部分は、ギフティの「giftee Point Base」(SaaS)を活用
・開発・テスト工程における自動化ツール等の活用等も実施し、開発期間短縮を実現
ギフティのサービスを使い顧客に幅広い選択肢を提供
NTTデータでは開発期間の短期化に向けて、ギフティの法人向けサービス「giftee for Business」で展開する共通ポイントやデジタルギフトへの交換がシームレスに実現可能なポイントプログラム基盤「giftee Point Base」も活用した。「giftee for Business」は、主要各社の共通ポイントをはじめ、全国の飲食店やカフェ、コンビニ等で利用可能なギフトを1000種類以上扱っている。
執行役員 giftee for Business事業部 本部長
篠塚大樹 氏
ギフティの篠塚大樹氏は「消費者のニーズは多様化していて、魅力的な交換先があるということが、ポイントを貯めたり使うモチベーションになります。ただ、その実現に向けて、共通ポイントやギフトを提供する各社と個別に交渉しながらシステム的なつなぎ込みを行おうとすると、多大な時間とコストがかかります。
それが「giftee Point Base」を使うことで、一度の連携で豊富な共通ポイントやギフトと接続でき、顧客の多様なニーズに対応する交換先が提供できるようになります」と説明する。
みずほポイントモールでは、この「giftee Point Base」というポイントプログラム基盤を活用し、共通ポイントやギフトと交換できるポイントの管理やポイント交換/ギフト交換、ギフト管理のフロントエンド開発の効率化も実現している。
福井氏は「仮にギフティのサービスを使わずに、みずほポイントモールと同等の機能を持ったサービスを作り上げようとしたならば、間違いなく1年での実現は難しかったと思います。その意味でも、ギフティのサービスを使うという選択は正解だったと強く感じています」と指摘し、こうも続ける。
「みずほポイントモールプロジェクトを計画どおりに完遂できたのは、ギフティのサービスの有用性に加えて、みずほ銀行様の強力なプロジェクトマネジメント力や仕様決定力、そして当社のエンジニアリング力がうまく融合した結果です。みずほ銀行様、ギフティ、当社が一体となって物事を推し進めたことが成功につながったと言えるでしょう」
顧客がより楽しく使えるようサービスを強化
今年4月のサービス開始以来、顧客からの反応も良好だ。例えば、月初にポイントが付与されると、多くのユーザーが即座に共通ポイントに交換するという行動が見られるという。これは、先に触れた「シンプルさ」「わかりやすさ」を追求した成果といえる。
もっとも玉井氏は「サービス開始から日が浅く、まだまだ認知度が足りていない」との判断から、口座開設のキャンペーンや既存顧客の利用を促す施策を強化していく方針だ。また今後は「お客さまの声を反映させながら、ニーズに合わせた機能やお客さまがより楽しく使える機能開発に取り組んでいきます。すでに来春に向けて、NTTデータさんやギフティさんと共に、サービス強化に取り組んでいます」と意欲を見せる。
この言葉を受け、福井氏も「単にシステムを構築するだけでなく利用者の顧客体験を高められるよう、蓄積されたデータなどを活用して、一人ひとりのお客さまにパーソナライズされたコミュニケーションをとり、LTV(ライフ・タイム・バリュー)向上を目指します。われわれが持つグローバルな事例やAIなどの先進技術も活用しながら、顧客利便性向上とみずほ銀行様のビジネスに貢献していきたいと考えています」と、今後に向けて抱負を語った。
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※2025年11月時点



