コーポレート・ガバナンス強化のために注目される、
戦略的な企業不動産(CRE)マネジメントとは。
ジョーンズ ラング ラサール
福島 世界的に有名なプロジェクトにも参画されていますね。ニューヨークのグラウンドゼロの再開発や、北京オリンピック、ロンドンオリンピックの開発アドバイザーを務められたと聞きました。JLLの強みはどのあたりにあるのでしょうか。
河西 現状分析に始まり戦略策定、実行支援、さらには運用管理まで、言わば、入口から出口まで、プランから実行まで、包括的なサービスをワンストップで提供できるのが大きな特長だと自負しています。
さらに、我々はどこの企業グループにも属していません。独立の立場から、文字どおりお客様の立場になって最適な提案ができます。
加えて、グローバルなネットワークも活用いただけます。たとえば日本のお客様が海外に進出される場合に、先進国はもちろんのこと、新興国においても、日本と同等の均質で高いレベルのサービスを提供します。言語も約40種類に対応しています。アラビア語で書かれた賃貸借契約書の内容を検討するといったことも、当社にご相談いただけば容易になります。
ガバナンス強化が求められる中
ますますCRE戦略が重要に
福島 私は、企業の社外取締役や経営アドバイザーも務めていますが、このところ、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)に対する関心が非常に高まっています。
「コーポレートガバナンス・コード」や「スチュワードシップ・コード」も公表されています。さらに政府は、ROE(自己資本利益率)重視の方針を打ち出しています。日本企業はこの流れにどう対応すべきでしょうか。
河西 日本においてもROEやROA(総資産利益率)などの資本効率を重視する株主が増えて来ています。残念ながら日本の企業は、欧米の企業に比べると資産・資本効率が低くなっています。特に、日本企業は総資産のうちに不動産の占める割合が20%強と、欧米企業の10%弱に比べて高いにもかかわらず、その効率化や適正化が遅れています。
たとえば、日本企業でも、世界の数百カ所で不動産を所有したり賃借したりしているグローバル企業は珍しくありませんが、その管理となると、海外の現地法人などに任せている、少し厳しい言い方をすれば放任しているところが散見されます。その結果、固定費も大きくなっています。一方、欧米の多国籍企業では、これらの管理を本部に集約し、一元的・戦略的に運用・管理しているところが多いのです。
当社の経験では、このような規模の企業は、本社での一元管理・戦略的な企業不動産(CRE)マネジメントを行うことによって、不動産関連コストを3割程度削減できます。企業によっては数百億円規模のコストを抑制することが可能です。