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コーポレート・ガバナンス強化のために注目される、
戦略的な企業不動産(CRE)マネジメントとは。

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
企業のステークホルダーが、株主価値の向上を注目するようになってきている。自己資本利益率(ROE)や総資産利益率(ROA)などの指標も重視される傾向にある。これらのコーポレート・ガバナンス(企業統治)を強化するためには、企業の資産、中でも不動産の効率化や適正化が重要なテーマになる。だが、その一方で、日本の多くの企業が、CRE(企業不動産)戦略を十分に実行できていないという。企業はこれらの課題解決にどのように取り組むべきなのか。世界最大級の総合不動産サービス会社であるジョーンズ ラング ラサール日本法人の河西利信社長と、ジャーナリストで上場企業の社外取締役や企業の経営アドバイザーも務める福島敦子氏が話し合った。

250年以上の歴史を誇る
世界最大級の総合不動産サービス会社

福島 ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は、250年以上の歴史を有する総合不動産サービス会社ですね。日本法人も30年以上の実績があるそうですが、これまでどのようなサービスを提供されてきたのでしょうか。

ジャーナリスト
福島 敦子
Atsuko Fukushima●津田塾大学卒。NHK、TBSで報道番組を担当。テレビ東京の経済番組や、日本経済新聞、週刊誌、経済誌など、これまでに700人を超える経営者を取材。経済・経営をはじめ、環境、コミュニケーション、農業・食などをテーマにした講演やフォーラムでも活躍。上場企業の社外取締役も務める

河西 JLLは日本で言えば江戸時代の中期である1783年にロンドンで創業されました。現在、先進国から発展途上国まで世界80カ国、230拠点に展開し、5万8000人の不動産エキスパートを擁する世界最大級の総合不動産サービス会社です。

日本法人は1985年に設立され、今年が丁度30周年にあたります。現在、東京、大阪、福岡に事業所を設けており、国内の従業員数も700名を超えました。

当社は、グローバルに包括的な不動産サービスを提供していますが、大別すると、事業法人向けサービスと投資家向けサービスに分けることができます。まず、事業法人向けサービスとしては、企業不動産のコンサルティングや建設プロジェクト・開発のマネジメント、ファシリティマネジメントなどを幅広く提供しています。また、投資家向けサービスとしては、不動産の売買や賃貸などの取引支援、投資用不動産の運用管理サービス、ホテル・ホスピタリティー施設の投資アドバイザリーなどを提供しています。

福島 世界的に有名なプロジェクトにも参画されていますね。ニューヨークのグラウンドゼロの再開発や、北京オリンピック、ロンドンオリンピックの開発アドバイザーを務められたと聞きました。JLLの強みはどのあたりにあるのでしょうか。

河西 現状分析に始まり戦略策定、実行支援、さらには運用管理まで、言わば、入口から出口まで、プランから実行まで、包括的なサービスをワンストップで提供できるのが大きな特長だと自負しています。

さらに、我々はどこの企業グループにも属していません。独立の立場から、文字どおりお客様の立場になって最適な提案ができます。

加えて、グローバルなネットワークも活用いただけます。たとえば日本のお客様が海外に進出される場合に、先進国はもちろんのこと、新興国においても、日本と同等の均質で高いレベルのサービスを提供します。言語も約40種類に対応しています。アラビア語で書かれた賃貸借契約書の内容を検討するといったことも、当社にご相談いただけば容易になります。

ガバナンス強化が求められる中
ますますCRE戦略が重要に

福島 私は、企業の社外取締役や経営アドバイザーも務めていますが、このところ、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)に対する関心が非常に高まっています。

「コーポレートガバナンス・コード」や「スチュワードシップ・コード」も公表されています。さらに政府は、ROE(自己資本利益率)重視の方針を打ち出しています。日本企業はこの流れにどう対応すべきでしょうか。

ジョーンズ ラング ラサール
代表取締役社長
河西 利信
Toshinobu Kasai●一橋大学卒。1985年大和証券株式会社に入社。1999年ゴールドマン・サックス証券会社に入社、不動産投資運用業務に従事。2004年にはパートナーに昇格。2012年よりJLL日本法人の代表取締役社長に就任

河西 日本においてもROEやROA(総資産利益率)などの資本効率を重視する株主が増えて来ています。残念ながら日本の企業は、欧米の企業に比べると資産・資本効率が低くなっています。特に、日本企業は総資産のうちに不動産の占める割合が20%強と、欧米企業の10%弱に比べて高いにもかかわらず、その効率化や適正化が遅れています。

たとえば、日本企業でも、世界の数百カ所で不動産を所有したり賃借したりしているグローバル企業は珍しくありませんが、その管理となると、海外の現地法人などに任せている、少し厳しい言い方をすれば放任しているところが散見されます。その結果、固定費も大きくなっています。一方、欧米の多国籍企業では、これらの管理を本部に集約し、一元的・戦略的に運用・管理しているところが多いのです。

当社の経験では、このような規模の企業は、本社での一元管理・戦略的な企業不動産(CRE)マネジメントを行うことによって、不動産関連コストを3割程度削減できます。企業によっては数百億円規模のコストを抑制することが可能です。

福島 それだけのコスト削減ができれば資本効率を高め利益にも直結しますね。にもかかわらず、日本企業において戦略的なCREが進んでこなかったのにはどのような理由があるのでしょうか。

河西 大きな理由として、経営者の皆様の関心が低いことが挙げられます。日本企業の多くでは、生産現場や販売現場等の「コアビジネス」におけるコスト管理は徹底されて来ましたが、不動産関連コストについては、あまり強い関心を払って来ませんでした。

当社はこの7月に、「日本企業のCRE推進に関する調査2015年」を発刊しました。この中で、日本企業の経営層は、CRE推進における資本効率改善の認識がいまだ低いことが明らかになりました。CRE部門への権限委譲についても、欧米企業に比べて進んでいません。

今後は、CRE戦略を経営戦略の重要な柱に引き上げることがますます重要になります。そのためにも、最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)などが率先して取り組むとともに、CRE部門への経営からの支援やコミットメントが不可欠になるでしょう。

世界の投資家とのネットワークで
東京の都市力向上にも貢献

福島 JLLの2大サービスの一つである投資家向けサービスについてもお聞きしたいと思います。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、不動産市場も活況を呈しているのではと思いますが、現状はいかがですか。

河西 世界中の投資家が日本、特に東京に関心を持っています。一種の日本ブームと言ってもよい状況ですね。オフィス、物流、リテール(商業施設)、ホテルなど様々な種類の不動産の売買が活発になっています。また、オフィスビルを賃借する為の賃料も、円安傾向にあることから、香港やニューヨークと比較してもかなり割安感があります。

実際に当社が10月に都内で開催した「不動産&ホテル投資フォーラム2015」には国内、海外の不動産投資家やデベロッパー、ホテルオペレーター、レンダー(金融機関)、弁護士など不動産プロフェッショナルが約400名参加し、その数は過去最高となりました。

当社では、ニューヨーク、ロンドン、パリと並んで、東京を「スーパーシティ」と定義しています。また、政府も成長戦略の一つに大都市の再生を掲げています。そのためには、世界から投資を呼び込むことも必要です。当社には世界中に機関投資家など幅広い投資家のネットワークがあります。絵に描いたもちではなく、実際にプロジェクトを推進できるのも当社ならではと自負しています。大きな可能性のある東京の「都市力向上」に当社も貢献したいと考えています。

福島 JLLは日本の事業法人にとっても投資家にとっても頼もしいアドバイザーとなりそうですね。

河西 たとえばCRE戦略についても、国内はもとより、グローバルな拠点で、現在どのような不動産を保有・賃貸しているのか、俯瞰的に眺めることができるだけでも、意志決定が容易になります。不動産コストの面でも欧米企業と同じ土俵で勝負することができれば、日本企業もこれまで以上に国際競争力を発揮できると感じています。日本企業の更なる成長とそれを背景とした国際都市東京の地位向上に、当社も貢献出来ればと願っています。

4年連続で開催 過去最高の来場者を記録
「不動産&ホテル投資フォーラム2015」

日本やアジアの不動産市況や動向、今後の展望について見解を共有

 

JLLは2015年10月19日、日本市場における不動産投資および収益不動産とホスピタリティ資産への投資をテーマにしたイベント「不動産&ホテル投資フォーラム2015」を東京都港区のコンラッド東京で開催した。今年のフォーラムでは、業界を代表する投資家や弁護士ら専門家をパネリストとして迎え、活況を呈する日本市場の動向や見通しについて、また、JLLの強みである国内外の専門家ネットワークを活かして、グローバルな視点からみた日本市場の魅力や課題について見解を共有した。また、訪日客・レジャー需要増加を見越したホテルやサービスアパートメント、簡易宿泊所の需要、中古ビルの用途転換なども、パネルディスカッション形式で意見交換した。