企業が量子コンピューターを使う納得のメリット 6時間から1分に作業時間を大幅短縮した例も

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右から/カゴヤ・ジャパン セールスグループ フィールドセールスチーム 鶴岡 謙吾 氏 Jij  代表取締役 CEO 山城 悠 氏
社会を大きく変える可能性のある技術として期待されている「量子コンピューター」。未来の技術と捉えられがちだが、着実にビジネスでの活用が進む。とくに製造業や物流業、創薬などにおいて、量子コンピューターのもたらす「最適化」の価値が発揮され始めている。カゴヤ・ジャパンでセールスを担当している鶴岡 謙吾氏と、量子コンピューター業界を牽引するJij代表取締役CEOの山城 悠氏に、そのメリットを聞いた。

特定の領域に強みを持つ「次世代のコンピューター」

――量子コンピューターとはそもそも何か教えてください。

山城 一言で言えば「次世代のコンピューター」です。量子力学の現象を応用することで、従来のコンピューターでは難しかった計算を、高速に処理できることが期待されています。例えば、製造業では生産計画の最適化や、物流業では配送計画策定、製薬業界では化学シミュレーションなどに活用できます。

鶴岡 ビジネスに量子コンピューターを活用することで最適化が進み、企業の意思決定が速くなったり、より高度な戦略を考えられるようになったりする効果が期待されます。近い将来、より多くのビジネスに量子コンピューターが活用されるのではないでしょうか。

山城 量子コンピューターは、「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」に分類されます。量子ゲート方式はすべての量子計算が可能な汎用型なので、例えるならコンピューター。量子アニーリング方式は最適化アルゴリズムに特化した専用機なので、例えればワードプロセッサーといえます。

数十億円する量子コンピューターが、月額定額料金で利用可能に

カゴヤ・ジャパン セールスグループ フィールドセールスチーム 鶴岡 謙吾 氏
カゴヤ・ジャパン セールスグループ フィールドセールスチーム
鶴岡 謙吾

――カゴヤ・ジャパンでは、「FLEX HPCサービス量子アニーリング(以下、量子アニーリングサービス)」を提供しています。どのような強みや特徴があるのでしょうか。

鶴岡 NECが開発した「ベクトルアニーリング」というアルゴリズムを利用した擬似量子アニーリング(アニーリングマシン)サービスを展開しています。これにより、アニーリングマシンを一般的な企業、団体が手軽に利用できるようになりました。

量子コンピューターを購入するには数十億円と多額の費用がかかりますが、当社サービスなら最低利用期間3カ月・月額定額料金で量子の世界に触れられます。

大きな特徴としては、利用者ごとに物理サーバーを提供しておりセキュリティーが堅牢であること、申し込み手続きが簡単に済むことです。早ければお申し込みの翌日から利用いただけます。

山城 当社は、カゴヤ・ジャパンの量子アニーリングサービスを利用して数理最適化を行い、ビジネス課題を解決するコンサルティングサービスも提供しています。OSやネットワークなどの環境がすでに用意されているため、ユーザーが自社で管理せずに済み、手軽なところに大きな魅力を感じています。

Jij  代表取締役 CEO 山城 悠 氏
Jij 代表取締役 CEO
山城 悠

鶴岡 ありがとうございます。IT人材の不足が叫ばれる中、インフラエンジニアの採用は難易度が高いといわれます。インフラ周りを意識せずともサービスを使える点は、非常に大きなメリットだと考えます。

また、日本企業ならではのきめ細かいサポートも評価いただいているポイントです。自社所有のデータセンターが、災害に強い国内の学研都市に立地しており、社員が24時間365日常駐して運営しています。万が一、障害が発生しても電話がつながり、すぐに対応できる体制です。

6時間から1分に、作業時間を大幅短縮する効果

――Jijが提供しているコンサルティングサービスは、どのようなニーズがあるのでしょうか。

山城 製薬や製造、物流に関する企業からのニーズが高いです。例えば、化学品メーカー・JNC様の事例では、化学材料の製造計画表の作成を自動化し、作業時間を6時間から1分に短縮できました。専門知識がなくても製造計画表を作れるようになったほか、多品種の生産計画策定もスムーズになったといいます。

鶴岡 すばらしい効果が出ていますね。Jijのような、数理最適化のプロフェッショナルからサポートを受けて導入を進めることで、現場の課題解決がスムーズに進むのだと思います。

事例(Jij採用実績)化学品メーカーJNC株式会社

――カゴヤ・ジャパンには、25年を超えるレンタルサーバーの事業実績があります。

鶴岡 25年以上にわたり、安定したインフラ環境の整備・構築を続けてきました。そのノウハウと技術が、とくに導入支援やセキュリティー面、サポート体制の手厚さに生きていると自負しています。

ただし当社には、量子コンピューターを専門とするエンジニアが在籍しているわけではありません。そのため、専門的なノウハウやコンサルティング能力を持っているJijと協業することで、上流から下流までエンドユーザーに提供できるようになりました。

山城 私たちとしても、自社でデータセンターを保有するカゴヤ・ジャパンと協業することで、インフラをすべてお任せできるようになりました。月額定額ですので、リソースの少ない中小企業でも運用しやすいと思います。

――日本企業が量子コンピューターを活用するメリットについて教えてください。

山城 量子コンピューターや量子アニーリングによる最適化計算の恩恵は、ビジネスの現場にとって非常に大きいものです。生産性が向上してコストカットにつながりますし、歩留まりを向上させて利益の最大化も実現できます。

最適化計算する過程では現場のノウハウを言語化してから数理モデルに落とし込むため、ノウハウの継承、業務の属人化の解消にもつながります。

鶴岡 量子コンピューターは大量の計算ができるので、仮説から外れた事象や、検証で見逃した事象も拾い上げることが可能です。それにより、新しいビジネスモデルが生まれる可能性もあります。

今後、さらに多くの企業に量子コンピューターや量子アニーリングサービスの価値を伝えていきたいです。

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右から/カゴヤ・ジャパン セールスグループ フィールドセールスチーム 鶴岡 謙吾 氏 Jij  代表取締役 CEO 山城 悠 氏