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楠木 僕はかねてから企業の価値は長期利益であり、ビジネスの根幹だと話しています。最近、ROEが注目されていますが、短期指標と捉えればR&D費を削るなど一時的にROEを上げることも可能です。御社は、ROEに対してどのように考えられていますか。

桝田 ROEには欠点もありますが、他の指標も組み合わせて短期ではなく中長期指標として使う限りでは、株主目線に立った優れた経営指標と考えています。当社では、ROEに特定の達成目標年度を設定せず、中長期的に維持・向上すべき指標と位置づけています。

楠木 素晴らしい。短期的にROEを上げようとは考えないのですね。

桝田 ROEは利益が分子、資本が分母ですが、まずは先ほど申し上げたとおりイノベーションを核とした3つの戦略で中長期的な利益成長に優先して取り組みます。次に、分母の資本を効率化するためにバランスシートマネジメントと株主還元の向上に取り組みます。今回のROE15%は高いレベルですが、実現性のある数字だと判断し設定しています。

楠木 建
Ken KUSUNOKI
一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授
●1964年生まれ。92年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て2010年より現職。専攻は競争戦略。著書に、20万部を超えるベストセラーになった『ストーリーとしての競争戦略』や『「好き嫌い」と経営』(ともに東洋経済新報社)などがある

楠木 ROEが重要なのは当然皆理解していますが、御社は意識として長期の視点を入れておられる。ぜひ御社のような戦略をもっと広く発信してほしいですね。ところで、今年は、コーポレート・ガバナンスコードが注目されていますが、御社はこれをどのように考えられていますか。

桝田 コーポレート・ガバナンスコードも同様だと感じています。コードに合わせ形を整えれば企業価値が向上すると約束されるものではありません。当社の場合、企業価値の持続的な向上を実現するという明確な意思のもと、透明性・妥当性・機動性の高いコーポレート・ガバナンス体制を整備してきました。取締役会、監査役会は、過半数を社外取締役、社外監査役で構成し、そこでは経営の監督に軸足を置き、大きな戦略課題をしっかり議論し、あとは執行体に任されています。執行体としては、エグゼクティブ・コミッティを機動的に開催し、執行にかかわる意思決定を行っています。

楠木 なるほど、ここでも中長期的成長に主眼を置かれているのですね。僕は、これまで製薬業界は会社間の違いが出にくいと感じていました。しかし、御社は違う。しっかりと戦略を立て、確実に実行していることがよく分かりました。

桝田 ありがとうございます。引き続き、強みを磨き、科学の進歩を患者さんの価値に変えて届けていきたいと考えています。

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