台湾の問題は米中の問題であり台湾は解決できない問題だ、台湾の民主主義もまだ成熟しておらず、与野党が学習中の段階
第2に、国会で多数を取り戻す方法がある。フランス大統領であれば国会の解散権がある。しかし、台湾の憲法は総統にその権限を与えていない。国会を解散できるのは、内閣不信任の時だけだ。しかし、野党が内閣不信任案を提出しなければ、解散はできない。
(注:台湾の場合、内閣不信任とは首相に当たる「行政院長」を、議会が解任決議することを指す。行政院長は総統が指名する)
「両岸関係」はアメリカと中国との関係が決定
――そこで、「大罷免」をやるしかないということか。
そう言える。「大罷免」というのも、仕方なしに考え出されたものだ。結果がどう出るのか、それは有権者が決めることだ。罷免が通過しなければ民進党は悲惨なことになり、変わらざるをえない。罷免が通過すれば、国民党は反省しなければならない。「大罷免」も、民意を問う民主主義の方法の一種だ。
(注:現在、少数与党の民進党は、最大野党の国民党の多数の議員をリコールし、議会での多数を取り戻すことを目指している。これは「大罷免」と呼ばれている)
――台湾にそのような時間はあるのか。台湾に影響を及ぼす中国の存在がある。

台湾と中国の「両岸関係」は、基本的にアメリカと中国の関係が決定する。米中が対抗すれば、両岸は必ず対抗する。とくに民進党政権は必ずアメリカ側に立つ。
中国は、「台湾は中国の領土だ、核心利益だ、他人の干渉を許さない」と言っている。これは中華人民共和国の建国以来、一貫した立場だ。しかしこの中国の立場を、大部分の台湾の民意は受け入れない。大部分の台湾の民意は現状維持、つまり独立国家の地位を維持することを求める。民進党だけでなく、国民党の支持者もそうだ。
そこで、米中関係が良好だった時代がどうだったのかを考えてみよう。冷戦時代、米中の戦略的パートナーシップ関係が構築され、ソ連に対抗した。冷戦終結後も、アメリカは中国をWTO(世界貿易機関)に加盟させ多額の資金を中国に投資をした。2000年以降も米中関係は非常に良好だった。そうすると、中国としては台湾問題の解決を先送りすることができる。
――国民党の馬英九時代(在任2008~2016年)、両岸関係は緩和した。
それは、米中関係が良好だったからだ。米中関係が良好なら、台湾が中国と対抗することは不可能だ。現在のように米中関係が悪化すると、両岸関係がよくなることはない。だから現在の状況で、台湾で国民党が政権を獲得することはないのだ。
――仮定の話だが、米中関係がよくなった場合、民進党の政策は変わるということか。
必ず変わる。変わらなければならない。アメリカの支持なしに、民進党が単独で中国と対抗することは不可能だ。
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