「入院より通院が圧倒的多数に」“働くがん患者”を支える企業と社会の急速な進化

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実際にがんと診断された後の就労行動をみてみると、最も多かったのが「有給休暇の範囲で休み仕事を継続した」で35.8%。次が「病気に伴う長期休業をしながらも、復帰・継続した」で32.9%。

その他は「現在休職中(復帰予定)」11.1%、「がん罹患が分かりすぐに辞めた」8.9%、「がんを治療しながらしばらく働いていたが辞めた」4.9%など。7割近くが仕事に復帰し、1割が復帰予定と前向きな結果となっている(東京都福祉保健局 がん患者の就労等に関する実態調査)。

次の調査は「患者体験調査報告書 令和5年度調査」(国立がん研究センター)である。回答者総数は1万1169人で、「がん診断時に収入のある仕事をしていたかどうか」という問いに対し、「はい」という回答は5165人で46.2%にとどまった。これは全回答者の平均年齢が68.9歳と高いためと思われる。

就業形態は正規社員が35.5%で最も多く、パート・アルバイトが23.7%、個人事業主が19.5%など。個人事業主以外と回答した人に対する質問「治療と仕事を両立するために勤め先で利用したもの」に対する回答で多かったのは「傷病休暇・病気休暇」(38.3%)、「時間単位、半日単位の休暇制度」(18.1%)。「在宅勤務(テレワーク)」は6.2%、「短時間勤務制度」は5.1%しかなかった。

職場の支援体制が進んでいる

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「職場や仕事上の関係者にがんと診断されたことを話したか」という問いに対しての回答は、「話した」が79.7%に達した。その相手は「所属長・上司」が79.0%で最多。「同僚」は53.3%、「部下」16.4%、「人事労務担当者」14.4%など(複数回答)。2人に1人は同僚に話している。

がん治療中に職場関係者から「治療と仕事を両方続けられるような配慮があったか」という問いには、「十分受けられた」が42.9%で最多、「ある程度受けられた」が23.3%で、合わせると66.2%が「配慮があった」と回答。「全く受けられなかった」「あまり受けられなかった」は合わせて9.1%と1割未満だった。職場での支援体制が進んできていることをうかがわせる。

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