フジHDきょう総会、株主と取締役案で対立-「争奪戦」の行方焦点に

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フジ・メディア・ホールディングスが25日、都内で定時株主総会を開く。米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが独自の取締役選任案を提案しており、会社提案への株主の支持動向に注目が集まる。性加害問題をきっかけに打ち出したガバナンス強化の本気度も問われそうだ。

フジHDの選任案11人のうち、清水賢治次期社長(フジテレビジョン社長)を除く全取締役候補を刷新。3月に発表した新経営体制では金光修社長ら4人が留任予定だったが、ダルトンが経営責任を問わない姿勢を批判し、SBIホールディングスの北尾吉孝氏を含む12人を立てた。対立候補の擁立もあり、フジHDは4人の退任を決めた。

フジHD本社Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

会社側は新たに取締役候補として、ファミリーマート元社長の沢田貴司氏ら4人を加え、ダルトン案には反対の立場を示した。足元の業績を下支えする不動産事業の在り方を巡っても方針が異なっており、双方は対立構造は否定するが事実上の委任状争奪戦(プロキシファイト)の様相を見せる。

ダルトンは、野球のオールスターチームのように誰がこのポジションに最適かで選ぶ「選挙」と位置づける。双方の候補者23人から、フジHDの定款で定める上限の18人が選任されることも制度上は可能だ。共同創業者のジェイミー・ローゼンワルド氏は1人でも選ばれれば、経営への影響力を強めることができ、不動産事業のスピンオフも「真剣に考えざるを得なくなる」と話す。

フジHDを巡っては、元タレントの中居正広氏が起こした女性との性的トラブルへの対応をはじめ企業統治(コーポレートガバナンス)不全が浮き彫りとなり、スポンサー離れが深刻な経営課題となっている。相次いで発表したガバナンスや経営の改革案とともに、取締役候補も一新して新生フジHDを印象づけたい考えだ。

米議決権行使助言会社の見解は割れている。インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は会社提案に賛成、ダルトン提案には反対を推奨。一方、グラスルイスは北尾氏らダルトン提案の5人を取締役会に必要な候補者と評価し、沢田氏ら会社提案の2人に反対を推奨した。

ブルームバーグ・インテリジェンスの本間靖健アナリストは、投資家は個別に判断して票を投じる傾向があり、不動産事業のスピンオフなど短期的な利益に期待して、ダルトン案から「何人かは可決されるかもしれない」との見方を示した。一方で、会社とダルトンの両提案は、ともに企業価値向上の具体策に乏しく、投票行動に迷う株主が一定数いるのではないかと分析する。

著者:古川有希

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