「フジ社員逮捕」で波乱含みも…“異例の大規模開催” フジ・メディアHDの株主総会で、フジテレビに《CMが戻ってくる》が現実的であるワケ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日本のテレビメディアの広告費の推移(図2)を見ても明らかだ。

2011年の東日本大震災の発生直後、多くのCMがACジャパンに差し変わったが、CMは復活し、その後テレビメディアの広告費も増加している。

テレビメディア広告費
図2:テレビメディアの広告費は衛星放送を含む。日本の広告費(電通)を基に筆者作成

ただ、近年テレビメディアの広告費は微減を続けており、コロナ禍で大きく減少した。その後は復帰基調にあるが、中長期的には微減の傾向が見られている。

つまり、テレビCMは中長期的には衰退の傾向にはあるものの、短期的に「必要ない」とまで言い切ることはできない。

スポンサー企業やメディア事情に詳しい人たちに聞いてみても、「CMを再開する意向はあるが、きっかけがつかめない」といったところだった。逆に言えば、株主総会がCMを戻す「きっかけ」となる可能性は、タイミングから見ても十分にあるだろうということだ。

株主総会を乗り切れなければ「1年もCMが戻らない」

筆者の見解に対して、「フジテレビに対して擁護的すぎるのではないか?」という意見もあるだろうが、不祥事を起こした企業が経営を刷新し、信頼回復を行うのは容易なことではないし、何をやったところで批判を浴びるものだ。

FMH、フジテレビは批判を浴びながらも、やるべきことを粛々とやっているように筆者には見える。

一方で、FMHが株主総会をうまく乗り切れなかったらどうなるだろうか? 「(CM再開は)しばらく様子見」となってしまうと、次の再開を判断するタイミングは、いまのところ噂されている検証番組の放映くらいしかない。

真偽は定かではないが、検証番組での関係者の取材は難航しており、視聴者が納得できるクオリティのものにならない可能性が高いという報道も出ている。

フジテレビからCM放映が控えられはじめたのは、2025年の1月18日からだが、そろそろ本格的に戻していかないと、1年間にわたってCMが戻らないというさらなる異例の事態も起こりかねない。

また冒頭で触れた通り、フジテレビ社員がオンラインカジノの常習賭博の疑いで逮捕されたという報道が出ているが、これもまた好ましくない状況だ。

今後、フジテレビは新たな不祥事が起こさないように細心注意を払う必要がある。「CM再開はもう少し様子見」となってしまうと、次の再開タイミングの機会を作るのは容易ではない。

そういう意味でも、FMHの株主総会が、フジテレビの今後の経営方向を決定づける正念場であることは間違いないだろう。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事