「フジ社員逮捕」で波乱含みも…“異例の大規模開催” フジ・メディアHDの株主総会で、フジテレビに《CMが戻ってくる》が現実的であるワケ

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少なくとも、1つ目の経営陣の刷新については、安定株主、一般株主は必ずしもダルトン側に付くとは限らず、ダルトン側の提案に押し切られることは考えにくい。

FMH側、ダルトン側のいずれの提案が通ったとしても、清水賢治社長以外の経営陣は刷新されることになる。

2つ目の事業構造の刷新については、FMH側と株主側の最大の対立点は「不動産事業の分離」だ。

株主側は不動産事業部の分離を提案しているが、FMH側は拒否している。こちらに関しては、どちらに転ぶかはわからないのだが、株主総会では重要な議題であっても、スポンサー企業がCM再開を決めるうえでは主要な問題ではない。

むしろ、スポンサー企業が重視するのは、3つ目のコンプライアンス体制の強化だ。ただ、この点においては、フジテレビ側はさまざまな手を打ってきており、株主側とも大きな対立には至っていない。

あなどれないフジの「ステークホルダー対応」

株主以外のステークホルダー対策も、フジ側は周到に行っているように見える。

結果が出るまではもうしばらく時間はかかりそうだが、フジテレビのコンプライアンス強化の取り組みも進められている。

編成幹部をはじめとする問題を起こした社員の処分が行われたことに加えて、港浩一前社長と大多亮元専務に民事訴訟を提起することも発表し、過去との決別をアピールしている。さらに、中居正広氏のトラブル相手の元社員女性に対する清水社長自らの対面謝罪も実現している。

フジテレビ労働組合は、問題が発覚した当初は経営陣と対立していたが、6月9日には経営陣が提示した再生・改革案に賛同の意を表明している。

週刊誌、スポーツ紙、ネットメディアの報道は、依然としてフジテレビに対して批判的な論調だ。しかしながら、清水社長は大手新聞や経済メディアの単独取材を積極的に受けており、これらの報道の論調は必ずしも批判的なものでもなくなっている。

この動きと呼応して、徐々にフジテレビの視聴者の意識も変わっているように思える。「問題が解決した」とまでは思わないまでも、中居氏とフジ元社員のトラブルから露呈した、さまざまな同社の問題は、徐々に「過去のもの」と見られるようになっている。

実際、中居氏に関する報道は依然として多いのだが、フジテレビに関する報道は減少している。

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