「フジ社員逮捕」で波乱含みも…“異例の大規模開催” フジ・メディアHDの株主総会で、フジテレビに《CMが戻ってくる》が現実的であるワケ
決議事項を自社の主張通りに通したとしても、一部の株主の反対を押し切って、ゴリ押しで行ったと見られるのは好ましくない。逆に株主側の提案に押し切られてしまっても、FMH側の経営能力が疑問視されることになってしまうだろう。
筆者としては、FMHは意外にしっかりと手を打ってきており、株主総会の終了後、スポンサー企業の多くはフジテレビへのCM出稿を再開するのではないかと見ている。そうなると、フジテレビの経営は「通常運転」へと戻っていくことになる。
筆者が上記のように考える根拠を、ステークホルダー(利害関係者)対応という視点から考えてみたい。
フジ側の株主総会対策は「用意周到」
FMH、およびフジテレビの主要なステークホルダーを整理すると、下図(図1)のようになる。
※外部配信先では図やグラフをすべて閲覧できない場合があります。その際は「東洋経済オンライン」内でお読みください。

株主総会における最も重要なステークホルダーは、当然のことながら、株主である。FMHと大株主のダルトンの主張は、上記の議題1、2において対立している。
FMHの筆頭株主は旧村上ファンドの村上世彰氏の長女・野村絢氏で、保有比率は4月1日時点8.74%となっている。ダルトンが野村氏に接触しているという報道もあり、野村氏はダルトン側に付くのではないかとも見られている。
ただ、野村氏は明確な意思を表明していない。「もの言う株主」にしては、おとなしいように見える。
機関投資家に影響力を持つ、アメリカの議決権行使助言会社の見解は分かれている。インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)はFMH側の提案への賛成を推奨している。
一方で、グラス・ルイスはFMHが提案する取締役候補の2人に反対、ダルトンが提案する取締役12人のうち北尾吉孝氏ら含む5人に賛成している。
ただ、グラス・ルイスもFMH側の提案に対しては、反対というよりは「一部賛成」と見ることができる。
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