成長を加速させるために
楽天が選んだ“動く”デスクとは?
岡村製作所

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もちろん、座りっぱなしの姿勢が良くないことを裏付ける科学的なデータや論文もある。それらのデータを見ても、なお杉原氏は「半信半疑のところがあった」という。そこで同社は岡村製作所から「スイフト」を3台借り、東品川の本社で半年間、三木谷社長の利用も含め試験的に導入。その結果が三木谷社長の「全員に入れる」という判断になったのだった。

楽天は、海外を含む社員全員に岡村製作所の昇降式デスク「Swift(スイフト)」を導入した。身長に合わせて天板の位置を変えられるのはもちろん、PC を使うとき、書類に目を通すときなど、仕事の内容に応じて高さを変えたり、「お昼を食べた後は眠くなるから立って仕事をする」など、コンディションに応じて立ったり座ったりと自由な働き方ができるのが魅力だ。

自由な働き方ができる組織文化を象徴するデスク

「会社を興したころから朝から晩まで働くのが当たり前でした。それができたのは若かったからという理由だけではなかったと思います。自分たちが好きな働き方をしていたことが、一つのモチベーションになっていたのでしょう。その頃と比べて今は組織が大きくなり、チームで動かなければならないことも多くなりました。それでも社員一人一人がそれぞれの個性を生かし、自由な働き方ができるというのは、楽天の変わらぬ組織文化です。そういう文化があったからこそ新しいサービスを発想し、さまざまなイノベーションを実現してこられたのです。自分の好きな高さにできるデスクは、そういう楽天の組織文化を象徴しています。今、この本社には60カ国以上の国籍の社員がいます。新オフィスでは、人の多様化がますます進む中で、社員が緊密なコミュニケーションとスピーディな意思決定を行える、創業時から大切にしてきた風通しの良いオフィス環境の実現を目指しています」と杉原氏は熱く語る。新社屋へは9月末に移転がほぼ完了。「スイフト」を使い始めてまだ日は浅いが、杉原氏は「肩こりや腰痛が明らかに減りました。社員の評判も無茶苦茶いいですね」という。

楽天は創業以来ずっと全社員が参加する「朝会」を週に1回行っている。社員数が1万人以上になると、さすがに一堂に会するのは難しくなったが、国内外50拠点以上をテレビ会議システムでつなぎ中継するとともに、新社屋には約2000名が入ることのできる朝会用のスペースがある。会社の方向性や情報をタイムリーに全社員で共有することが大事だと考えているためだ。一方で新社屋には朝昼夕食が無料提供されるカフェテリア、フィットネスクラブ&スパ、託児所、さらに鍼灸師が常駐するリラクゼーションスペースまである。社員が楽しく働ける、頑張って働こうと思える環境を提供しているのは、オフィスをコストではなく投資だと考えているからだろう。

組織の活力は、社員一人一人の働き方からくる。社員が活性化すれば組織全体も活性化する。今回の本社移転を機に楽天は、次の成長ステージに向けてさらに力強く歩んでいきそうだ。

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