
子どもの教育費が増えている
文部科学省の「子供の学習費調査」によれば、ここ数年、「家庭教師費等」(通信教育費を含む)や「学習塾費」が上昇傾向にある。この傾向は幼少期の子どもからすでに見ることができ、とくに公立学校よりも私立学校の子どものほうがこれらの費用が高く、教育熱心な家ほど、こうした「補助学習」に多くのリソースをあてていることが見て取れる。
最新の調査(平成24年)では、公立幼稚園および公立小学校第1学年で「家庭内学習費」が最も多く、「家庭教師費等」(通信教育費を含む)を学校種別にみると、幼稚園では公立約4000円、私立約5000円だが、小1では公立約1万3000円、私立約2万円と、小学校になると、公立より私立のほうがより多くの教育費用を投じていることがわかる。
このように、幼少期からの教育費が年々増加していることは、それだけ早期教育が保護者に重要視されている証左だと言えるだろう。

周りの子どもに遅れないために?
こうした早期教育のニーズの高まりを背景として、Z会では、2010年から幼児向けコースの通信教育を提供しはじめた。
この幼児向けコースは保護者にも受け入れられ、実際、幼児年長コースの会員数は、スタートした2010年には3816人だったのに対し、4年後の2014年には8110人と倍増している。

幼児教育の教材開発を担当しているZ会幼小事業部指導課課長補佐の鈴木貴子氏は、こうした早期教育の関心の高まりについて、次のように解説する。
「早期教育については、お子さんの教育に熱心というよりは、むしろ、責任を感じている保護者の方が多いように感じます。幼稚園などでは、小学校以上の教科書のように、この時期にこういう勉強をします、と明確に保護者の方にわかるものがなく、『今この時期に何をやっていればいいのか』『入学前に何ができなければいけないのか』という問い合わせが多く寄せられます。お子さんが周りのお子さんからおくれをとらないように、『これができていなければならない』『これをしっかり教えないといけない』といったプレッシャーを感じている保護者の方が多くいるのです」
実際、Z会の幼児コース年長会員アンケートでも、公立、私立関係なく「小学校への入学準備ができる」という受講理由が最も多くなっているという。
Z会が重視する「あと伸び力」
Z会といえば、難易度の高い受験勉強を重視したイメージを持つ方も多いだろうが、幼児向けコースの通信教育では、その様相は少し異なってくる。
「早期教育と言うと、1年先の学習、いわゆる先取り学習をイメージされる方もいらっしゃいますが、この時期に大切なのは、先取り学習で人より何かが早くできるようになることではありません。大切なのは発達段階に応じた学びで、『できるって楽しい』と子どもが感じられ、自分に自信が持てること。だから、Z会幼児コースではむやみな先取りはしません」
Z会幼児コースでは、「あと伸び力」というコンセプトを中心に考えている。後々、さまざまなことを学習していく際、自分でいろいろなことに興味を持って学ぶ力、自ら進んで学ぶ力を養うことを主眼に置いているのだ。
「あと伸び力」を養うため、Z会では教材にも工夫をこらしている。幼児向けコースで提供されている「体験型教材」がそれだ。Z会の体験型教材では、実際に手を動かし、外に出て学習することで、頭だけではない本当の理解を促している。
「幼児~小2くらいまでの時期は、発達段階的には具体的なものに触ってさまざまなことを学んでいく時期。Z会では体験型教材を通して、実際に体験をしながら興味を広げ、『なぜ』と考える姿勢を育てたいと考えています。工作ではテーマだけを与え、マニュアルはつくらず、正解も与えません。今手元にある材料で自由につくって、目と手で五感をフル活用し遊びながら考える力をつけるなど、将来の学びにつながるような工夫をしています。
体験型教材は幼児コースだけでなく、小学校1~2年の教材にもありますが、子どもの発達段階に応じて学年により少しずつ内容を変化させています。幼児は基本的に自分が楽しいと思うことしかやりたがらないので、どうしても体験が偏りがち。でも、小学校で本格的な教科学習が始まる前に多彩な経験を積み、興味を広げておくことは大切です。そのため、幼児コースでは子どもが自然と体験課題をやりたくなるように、遊びの要素を入れつつ、1つの体験の内容は軽めにして、できるだけいろんな体験をする、ということを重視しています。小1・小2については、小3からの理科・社会につながる内容の体験をしますが、幼児コースと比べ、1つの体験をじっくり深めていくものになります。経験を振り返るために、体験した内容を1年生は絵で、2年生は絵と文でまとめてもらうということもします。
また、Z会幼児コースにはワーク型の教材もありますが、たとえば足し算の考え方を学習する場合に、いきなり4+2=6のような問題は出しません。最初は『あわせていくつ』『ふえるといくつ』が視覚的に理解しやすいイラストを使い、足し算の場面について学習します。これは機械的に計算の仕方を学習して単に計算の答えが出せるようになることが目的なのではなく、足し算を『使える』ようになることが大事だと考えているから。小1の文章題で足し算と引き算のどちらを使うのかわからない、という相談がありますが、『場面の理解』が十分できていれば、小1の文章題でつまずくことはまずありません。小学生コースのアンケートを見ると、『考える力を養うため』という受講目的が上位にきますが、幼児期から本質を理解すること、『考える力』を養っておくことは重要なのです」

幼児にとって最良の教育とは何か
知的好奇心を引き出しつつ、考える力を養う。そのために教材はつねにブラッシュアップを重ね、教育専門家の意見も反映させている。その根本としてZ会が大事にしているのが、「幼児にとって最良の教育とは何か」ということである。
「ハイハイもできない赤ちゃんにいきなり立って歩けと言っても無理ですよね。ですから、子どもの発達段階に応じて、子どもが楽しく感じる、本当に子どものためになる教育とは何か。そこから教材の開発はスタートしています。幼児~低学年の時期は、学びの土台をつくる時期。この時期に『学ぶって楽しい』と思えること、いろいろなものに関心を持ち、おもしろいと思えること、探究心や挑戦意欲を育むこと、自分に自信が持てること…そういったことが将来的に伸びる子を育てるには必要だとZ会では考えています」
こうしたZ会の早期教育の取り組みについては、保護者からも賛同の声が多く寄せられている。
「いろいろなことに興味を持つきっかけになっているという声をよくいただきます。またはちょっと難しいかなと思っていたけど、やらせてみたら意外とちゃんとできた。『うちの子、すごいじゃない』と思わせてくれたという声も聞きます。体験でやったことをアレンジして別の遊びに発展させた、工作の材料がなかったので代用できるものがないか一生懸命考えてやっていた…といった報告もいただいています」
忙しいからこそ、親子の時間が重要になる
保護者は子どもに対してどのような姿勢で教育に臨めばいいのか。気をつけないといけないのは、一緒に学習に取り組む際には、保護者が「先生」で、子どもが「生徒」という関係性が生まれやすいことだ。とくに、ドリル的なものは、正解・不正解がはっきりしているため、きちんと教えようとするあまり、ついつい注意をしてしまいがちだ。つねに正解を求められ、正解を教えてもらえる状態だと、「自分で考える」力はなかなか育っていかない。
「Z会の体験型教材には絶対の正解がないものが多くあります。だから、保護者の方が先生になる必要もありません。親子が対等な関係で、どうやったらうまくできるか、相談しながら試行錯誤を繰り返す、その経験によって考える力が育まれます。また、一緒に体験をすることで、必ず対話が生まれますよね。体験の際に『これはすごいね』『不思議だったね』と感想を言い合うことだけでもいい。または『どうやったらうまくいくのか』を相談しながらつくるのもいい。そうした経験をたくさん積んでほしいと思います」
小学校に入学すれば、今度は学び合いが重要になってくる。それには、自分の意見を自分の言葉で相手にわかるように説明をする、人の意見を聞く力が必要になってくる。その力を身につけるためにも、幼児期に自分の意見が親に認められたという経験を積んでおくことが重要になる。それが自信につながって、小学校に入学しても、きちんと自分の意見を言える子どもになっていく。その意味でも親との対話は、子どもの成長に欠かせないものなのだ。
「学力をつけることも必要ですが、今の時期には学びへの意欲を養うことを重視してほしいと思います。お子さまが好きなこと、嫌いなこと、興味を持つこと、得意なこと、苦手なこと、がんばっていること…そういったことをいちばんよく知っているのは保護者の方。そんな保護者の方だからこそ引き出せる力があります。お子さんが小さいうちはとくに忙しいことと思いますが、少しの時間でもかまいません。勉強とかまえず、お子さんと一緒にいろんな体験をしたり、お話をしたりして楽しい時間を過ごしてください。そのためのヒントとしてZ会の教材をご活用いただけるとうれしいです。幼児~小学校低学年のお子さんは学びのスタートラインに立った状態。この時期に『学ぶって楽しいな』と思えることが、次の学びの扉を開いていくとZ会は考えています」

