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IT技術の進化が実現する
オフィス環境とワークスタイルの革新

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従来以上に求められる専門家の知見

また、新しい企業文化を創造するようなオフィス環境の変化を起こすには、ボトムアップでは難しく、経営トップの決意と指示がなければならないと今関氏は強調する。「年々採用する企業が増えているフリーアドレスも、自分のデスクがなくなるといった環境は、やはり当初は社員にとってストレスになるのです。それがある程度時間が経って慣れてくると、他部門との交流や社員間のコミュニケーションの促進など、意図したメリットが生かせるようになるのですが、そこに移行するまでのストレスを乗り越えるには、トップのリーダーシップが不可欠だと思います」。つまり、乗り越えた先にある大きなメリットを実現するというトップのぶれない決意と、ストレスを感じている社員へのサポートが重要だというのだ。

それでは、企業が有効なオフィス戦略を立てようとした場合、どのようなポイントに留意すべきだろうか。「かつては、どれだけのサイズのオフィスをどこのロケーションに設定するかということに尽きたと思います。コストもそれに伴って出てきました。それが現在は、サイズ、ロケーション、コストに加え、『働き方』というのが重要な軸になってきています。そして、求めるワークスタイルを実現するためには、必要なスペックも変わってきますから、今までに比べオフィスを選ぶ際の絞り込みのプロセスが複雑になります。このため、専門家のアドバイスがより必要になってくるのです」。特に、10年や20年に一度の本社級の移転であれば、経験のない社員も多く、専門家の知見が今まで以上に求められるようになるだろう。

ここで注意したいのが、その企業の持つ文化からあまりにも飛躍した姿を描いてしまうと、オフィス戦略が失敗に終わるリスクもあるということだ。たとえば、社員の交流を促進したり創造力を育む仕掛けとして、お茶やコーヒーが飲めるコミュニケーションスペースを作っても、業務時間中に席を離れてお茶を飲むことが遊んでいると見られる企業文化があれば、そのスペースを誰も使わないということになりかねない。「ワークスタイルやカルチャーを変えようという仕掛けはいいと思うのですが、それによるメリットはどの企業にも当てはまるものではありません。それを踏まえたオフィス環境を考えていく必要があります」。

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