レノボ傘下でも揺るがぬ使命──日本スマホメーカーが「ハイエンド」と「ガラケー」を同時に出す理由

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AI機能については、通知要約やグループ写真での顔認識など、モトローラの「Moto AI」と類似した機能を実装しているが、囲み取材で外谷氏はその開発体制について「レノボグループと協力しながら日本語への最適化はFCNT側で行っている」という趣旨の説明をした。

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arrows AI第1弾として、端末本体の設定を身近な言葉で検索する仕組みを取り入れた(筆者撮影)

そしてFCNTは、現在7機種という充実したラインナップを展開するまでに至った。2023年5月の経営破綻時には事業継続すら危ぶまれたが、レノボによる買収からわずか2年で、むしろ製品ラインナップを拡充している。これこそが、グローバル企業の調達力と技術基盤を活用することで可能になった再生の姿だ。

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FCNT独自の機能としては、「自律神経パワー」の計測機能も継続して搭載している(筆者撮影)

あえて選んだ「非効率」の意味

一方、らくらくホンの開発はまったく異なる様相を呈した。桑山社長は「(レノボグループ内で)企画を通すのにめちゃくちゃ苦労しました」と本音を漏らす。「やる意義をメンバーに強く説明して、『だったらやろう』ということで」ようやく承認を得たという。

シニア向けの工夫
ボタンの配置からフォントの設計まで、らくらくホンにはシニア向けの工夫が詰め込まれている(筆者撮影)

フィーチャーフォンの製造は、スマートフォンが主流となった現在では構造的な困難を抱えている。外谷氏は「らくらくホン向けの専用パーツがスマホ以上にすごい多い」と説明する。折りたたみ構造、脱着式電池、押しボタンなど、現代のスマートフォンとはまったく異なる部品構成を必要とし、レノボグループが得意とするグローバルなサプライチェーンによる規模の経済も効かない。

部品
フィーチャーフォンの部品は共通化が難しく、高単価なものも多い。SoCについてはクアルコム社と協力関係を結び、長期での調達を実現した(筆者撮影)
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