世界で増える「日本ファン」。日本大好きアメリカ人エコノミストが"アメリカ外し"の無秩序な世界でも日本が"意外に繁栄できる"と考える訳

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ーーとなると、考え方によっては、トランプ関税は、アメリカ以外への輸出入を増やす機会にもなる?

スミス:日本にとってアメリカが世界のすべてではないことを悟る機会になるだろう。今のアメリカは輸出先として考えた場合、素晴らしい市場と言えない。一方インドは最高だ。国民の所得は伸びているし、人口はアメリカの4倍もある。

新興国は日本からの輸出を受け入れる用意があるし、日本との良好な関係を望んでいる。多くは急成長しており、将来的には今よりずっと豊かになる。経済的には世界第3位になる国も出てきそうだ。

東南アジアには親日国も多い。ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン――これらの国々は成長している。インドほどではないが、ベトナムは特に成長が早い。フィリピンも経済成長しているし、何より女性人口が多い。

多くの国は日本のモノを「喜んで買う」

ラテンアメリカや中東は成長スピードこそ遅いが、一定の購買力はある。ラテンアメリカはもうすでに「日本オタク」が多いし、中東もそのポテンシャルが高い。というのも、日本のポップカルチャーは、彼らの伝統的で宗教的な保守文化に対する素晴らしい代替手段になるから。

とにかく、これらの国々は喜んで日本製品を買うだろう。彼らは資源輸出国だから、中国が経済を閉じても、アメリカが衰退しても、他にたくさんの市場が残っている。

一方、ヨーロッパはというと、今は中国の企業への補助金政策を強く非難している。では、中国じゃなくて日本の製品を買うことができたとしたら? 「買う相手」として日本は良い代替先になるんじゃないだろうか。
つまり、日本には輸出で活路を見いだす余地がまだたくさんある。あとは、企業の姿勢をもう少しドイツ企業や韓国企業のように変えるだけだ。

ーー「アメリカ外し」ということですかね。

カッツ:私は少し違う視点を持っていて、世界経済が安定するには、「善意の覇権国(benign hegemon)」が必要だと考えている。つまり、地政学的に国同士が愚かな戦争をしないように秩序を保つ存在が必要だ。金融危機は不可避だが、その中でも世界経済の安定性を維持するには、アメリカが舞台に居続けることが重要だと思ってきた。

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