世界で増える「日本ファン」。日本大好きアメリカ人エコノミストが"アメリカ外し"の無秩序な世界でも日本が"意外に繁栄できる"と考える訳
スミス:経営陣が投資する体制を整えるのは本当に重要だと思うが、より大事なのはモノやサービスを提供する「需要」の部分だと思う。だからこそ、新しい市場を開拓しなければならないし、そのためには輸出がとても重要だ。
同時に、グローバル市場で競争するためには最先端のテクノロジーが必要なので、同時に外国技術の輸入も増えるだろう。輸入によって海外の消費者が何を求めているかを知ることができるし、取引先から学ぶことも多い。輸入が国内の生産性を高めるという研究ならばいくらでも引用できる。
私たち2人が経済について語る時、レトリックが異なる。リチャードは「創造的破壊」という視点を強調するのに対して、私は「成長」にもっと重点を置いて話している。再配分を重要視していないわけではないが。

日本にとって「手に入れやすい果実」とは
カッツ:「破壊」は成長にとって必要なものだ。再配分はそのための手段の1つで、成長は目標だ。
スミス:私自身は「再配分を起こす原動力は成長にある」と考えている。発展途上国を見ればわかると思うが、彼らはなぜ非効率なセクターから効率的なセクターへ、非効率な企業から効率的な企業へと人材や資本を移すのか?それは「成長という大きな報酬」がそこにあるからだ。つまり、目指すべき”大きなご褒美”がある。
一方、市場が縮小している国や環境では、再配分に成功したとしても「他よりゆっくり死ぬ」という報酬しかない。この違いを経済モデルに落とし込むならあまり差はないかもしれない。だが、現実では心理的にまったく違う。
企業規模を拡大し、社員数を増やし、利益を伸ばす――こういう「成長」は、単に"他より遅く死ぬ"よりも、はるかに大きなインセンティブになる。
日本のような市場が縮小している国では、「外からの要素」――つまり海外からの収益や利益こそが、唯一の手に入れやすい果実であり、輸出こそがその手段だ。
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