「今の給食ってこんなにひどいの?」「中国や韓国はもっと豪華」とSNSで炎上も…《唐揚げ1個の給食》に怒る人が"残念すぎる"ワケ
そもそもこの唐揚げは「児童の配膳や調理の手間を減らすために、2個分を1個にまとめて提供する」というメニュー。
ひと口で食べられないほどボリュームのある唐揚げであり、批判の声は「1個」であることに過剰反応している感があります。もし批判するのなら「唐揚げ1個では少ない」のではなく「唐揚げ2個分では少ない」と声をあげるべきでしょう。
給食の献立は1回分の基準はもちろん1週間、1カ月のバランスなどを考えて毎日異なるメニューで構成されています。誰もが「これなら足りる」というボリュームを感じやすい献立ばかりでは成立しないでしょうし、ある1日を切り取って「これはおかしい」と言うのはアンフェアでしょう。
実際、福岡市の給食も別日の献立を見ると、豚丼やミルクシチューなどのボリュームを感じやすそうなメニューもありました。


過去の給食事情を振り返ると、昭和のころに求められていたのはエネルギー優先の“質より量”。しかし時代は変わり、健康面から作り手が肥満対策を求められるようになったほか、「太りたくない」などの理由からボリュームを求めない子どもが増えました。
また、配膳時に「少なめで」「なしでいいです」などと答えるなど、「好きなものだけを食べたい」という“量より質”と考える子どもが珍しくありません。そんな現在の給食事情や子どもたちの傾向を無視して、過去の価値観をもとに批判するのは無理があります。
無償化が進むほど不安視される背景
現在の給食を取り巻く背景として、第三者が考慮したいことはまだまだあります。
その筆頭は、かつてのように食べることを無理強いしなくなり、逆に「食品ロス」が問題視され、これを減らすために残食率などが調べられていること。
「毎日残して廃棄する」という学級も多い中、提供側は「いかに残されない献立と味付けを考えるか」というプレッシャーにさらされています。単に味や栄養の問題だけではなく、「給食の時間が短くて食べきれない」という子どももいて食べやすさも考えなければならないなど、私たちが想像するよりずっと難しい仕事なのでしょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら