いつか訪れる巨大な自然災害による死と破壊を予感しながら、日常の生活にかけがえのないものを見つけ出し、幸福な人生についての内省を深め、自らを継続的に鼓舞していくという意味において、ソルニット的なものとはまた違った「疑似宗教」といえるだろう。
“自律性の回復”という欲求が隠されている?
筆者は、このような予言に対する関心と「世直し」的な災害観の受容の根底には、自らの信じるものに従い、この閉塞感を積極的に打開したという自律性の回復という欲求が隠されていると考えている。
それは、予言が成就するかもしれないという災害前夜と呼ぶべきクリティカルな物語世界を生きることによって、薄ぼんやりとした自己や人生を見つめ直したいという淡い期待であるのかもしれない。
【もっと読む】「7月に日本で大災害が起こる」「想定をはるかに超える壊滅的な…」――ネット上を騒がせる"大災難予言"が嘘とも言い切れない理由 では、7月に日本で起きると噂されている"大災難"予言が拡散された背景について、批評家の真鍋厚氏が詳細に解説している。
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