ようやく訪れた通信業界の「値上げ局面」・・・慎重なソフトバンクと楽天モバイルの先行き占う懐事情 濃淡わかれたキャリア4社の価格戦略
ソフトバンクは携帯電話契約数のシェアこそ業界3位ではあるが、足元では非通信領域の成長で事業多角化が順調に進む。
売上高に占める個人向け通信事業のシェアは2020年度には全体の53%だったのに対し、2024年度には45%まで低下。傘下にLINEヤフーやPayPayといった成長事業を抱え、とくにPayPayはキャッシュレス決済の王者としての地位を確かなものにしつつある。
ソフトバンクの金融事業は2024年度に通期黒字化を果たし、2025年度の全社業績は、値上げなしでも過去最高純益を見込む。三井住友カードとの包括的な提携なども通じて自社経済圏のさらなる拡大を図るとともに、次世代技術としてのAIに対する投資にも余念がない。2026年度以降の次期中期経営計画では、AIの収益化に向けた道筋も示されるもようだ。

過去の値下げ競争では、特定の1社が踏み切ると、他社も同様のプランを投入するような形で即追随するパターンが続いた。しかし値上げ局面に転換した今、従来の料金体系を据え置くこと自体が価格面での競争力を持つことになる。非通信領域が好成長しているぶん、無理に値上げをしないという選択肢も持てうるのが、ソフトバンクの強みになりつつあるといえる。
楽天も本音では値上げしたい?
顧客が使用したデータ量に応じた従量制プランを導入している楽天モバイルも、値上げには慎重姿勢だ。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は5月14日の決算会見で、「現段階で大きな値上げを行う予定はない」と断言した。
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