医師が断言「死に目に会えないことは不幸ではない」。最期の瞬間に立ち会うための延命治療は必要か? "旅立ち"のときに本当に大事なこととは

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楽に逝けるためには点滴はできるだけ避けたいですし、よりよい看取りのために、「死に目に会えなくてもいい」という意識がもっと広がってほしいと願ってやみません。

「楽に過ごせていたか」「穏やかに旅立てたか」

点滴をしたからといって、最期の瞬間に必ず立ち会えるかというと、そうでもありません。亡くなるまで点滴をする病院での看取りでも、最期の瞬間に誰もそばにいなかったということは多いものです。

それまで懸命に介護を続けていて、少し目を離したときに亡くなることはあります。でも、それは「不幸」ではないと私は考えます。亡くなるときに大切なのは、その瞬間に一緒にいること、見守ることではなく、本人がそれまで穏やかに過ごせていること、楽に逝けることだと考えているからです。

そうした信念があるので、私は、看取りが近くなってきた患者さんの家族に「亡くなるときに大切なのは、その瞬間に立ち会うことではなく、患者さんが楽に逝けたかということですよ」とお伝えするようにしています。

そうすると、多くの家族が安心されます。家族も不安から何かできることはないかと考えるのでしょう。一緒に住んでいたとしてもその瞬間に立ち会えないことはあります。

もし遠方に住んでいたとしても、それまで十分に寄り添えていたら、離れたところから祈り、想うことで十分に伝わる、そう思います。

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永井 康徳 医療法人ゆうの森理事長 たんぽぽクリニック医師

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ながい やすのり / Yasunori Nagai

愛媛県の僻地診療所勤務の後、2000年に愛媛県松山市で、四国で初めての在宅医療専門のたんぽぽクリニックを開業。「理念」と「システム」と「人材」のすべてを高いレベルで維持して在宅医療の質を高めることをめざし、現在は常勤医10人、職員100人の多職種チームで在宅医療を主体に、有床診療所、外来の運営も行っている。

平成22年には市町村合併の余波で廃止となった人口約1200人の町の国保へき地診療所を民営化し、開設4カ月で黒字化を達成。そのへき地医療への取り組みは平成28年に第1回日本サービス大賞地方創生大臣賞を受賞。

全国各地での講演を行い、「全国在宅医療テスト」や「今すぐ役立つ在宅医療未来道場(通称いまみら)」「流石カフェ」など在宅医療の普及のための様々な取り組みを行っている。コロナ禍で現地講演会が難しくなってからは、YouTubeで「たんぽぽ先生の在宅医療チャンネル」を開始している。

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