「TACO相場」の中で「不安の壁」をよじ登る日本株、気づかないうちに夏相場の上昇はすでに始まっている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

テクニカル面から見ても、日経平均は5月29日に、投資家の多くが参考にする25日移動平均の値が3万6942.54円と、この日の75日移動平均3万6804.90円を上回った。

さらに先週末の25日移動平均は3万7510.80円に上昇し、200日移動平均の3万7874.54円にあと約364円と迫っている。その200日移動平均もようやく上向きになった。夏相場の上昇はすでに始まっているのだ。

先の見えない「TACO相場」の中で、日経平均は、世界の投資資金を呼び込みながらジリジリと「不安の壁」をよじ登っているのだ。日々の相場で「上値が重い」と見てはいけない。出遅れ日本株。ここは我慢比べだ。

「不安の壁」をよじのぼる株価、「我慢比べ」の局面

さて、最後に9日以降の相場を展望しておこう。アメリカの株式市場は、先週末の雇用統計に、NYダウが前日比443ドル高、ナスダックも同231ポイント高、S&P500種指数も同61ポイント高と反応した。ファンドがベンチマークとするS&P500種指数は6000.36ポイントと、3カ月半ぶりに6000ポイントの節目を回復した。

雇用統計が終わっても今週は重要指標の発表が多い1週間だ。注目指標を拾うと、9日の「日本1~3月期GDP改定値」は、予想は前期比-0.2%、年率-0.7%と速報値と変わらず。この日の「5月の対内証券売買契約(財務省ベース外国人動向)の数字は、大量買い越しとなっていると思いが改めて数字を確認したい。「5月の景気ウォッチャー調査」も見てみたい。中国5月のPPI・CPIの発表もある。

10日は「5月のマネーストック」だけはぜひ確認したい。株価を決める基本中の基本が、「金(カネ)対株」の「量」だからだ。11日は日本「5月の国内企業物価指数」「6月の月例経済報告」。アメリカでは当然5月のCPI(消費者物価指数)だ。予想は4月とほぼ変わらずだが、追加関税でジワリ上昇の気配も感じる。

12日の日本は「4~6月期法人企業景気予測調査」と、「週間外国人動向」は朝の財務省ベース、引け後の東京証券取引所ベースに注目。またアメリカ「5月PPI(生産者物価指数)」は上昇ぎみだ。この日は「新規失業保険申請件数」の発表もある。

13日は日本の「メジャーSQ」(先物とオプション両方の清算がある日)。アメリカでは「6月のミシガン大学消費者態度指数」に注目だ。6月の数字ともども、インフレ期待値は出非見たい。そして15日からはいよいよG7サミットが、カナダ・カナナスキスで始まる。

トランプ大統領が「TACO評価」に激怒していることは伝わっており、市場の不透明感は続く。だが、世界のカネ余りが続いていることは疑いようがない。再び言いたい。株価は「不安の壁」をよじ登っている。出遅れ日本株。我慢比べだ。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事