【写真あり】東大卒で警備員に。就職氷河期時代のなか彼はなぜ《年収1100万を捨てた》のか――"九龍城砦”と化した東大駒場寮で学んだこと

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「駒場寮闘争も末期になると、日米安保反対の学生運動をやっていたおっさんとか、寮生の友人の活動家とか、渋谷のあたりをうろついているヒッピー連中までもが参加するようになってさ。そんな連中のテンションにはついていけなくなったんだよね。やっぱり学ぶために東大に入ったんだと初心を思い出して、本郷では真面目に学生をやっていたよ。

ただ、2001年8月の強制執行の日の立てこもりには参加した。みんなでスクラムを組んで座り込むんだけど、このとき首のまわりに洗剤を塗っておくといいんだ。警備員はスクラムを組んでいる人間の首をつかんで引き抜こうとするんだけど、洗剤を塗っておくと手が滑って簡単には引き抜けなくなるからね。

とはいえ、さすがに多勢に無勢ですぐにみんな排除されちゃったけれど。まぁ、俺にとっては駒場寮での思い出を焼却するお祭りみたいなものだったね」

寮生が設置したバリケードを取り囲み撤去作業を行う警備員と、その様子を遠巻きに監視する寮生たち(写真:齋藤さん提供)

平均年収は1134.3万円なのに

駒場寮闘争で暴れてはいたが、「本郷では真面目に学生をやっていた」という齋藤さんは、その後、都内の地下街で警備員として働くことになる。管理部門ではなく現場の施設警備員だ。しかも、「自ら望んで」だという。

収入のことを考えれば、新卒で警備員になろうとする東大生はまずいない。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、「警備員」(施設の警備などの1号業務)の平均年収は376.1万円。

一方、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、同年の日本人の給与所得者の平均給与は460万円(男性569万円、女性316万円)である。これらの数値を比較すると、従事者にシニア層が比較的多いことを加味しても、警備員の給料は世間一般よりも低いといえる。

また、あるインターネット転職サービスが、自社サイトに登録した新規会員の年収を調査して、出身大学別にランキング形式で公表している。それによれば、全体の1位は東京大学で、平均年収は1134.3万円。2位以下には、一橋大学、慶應義塾大学、京都大学、東京工業大学と続く。

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