コルビー氏はいわばその中間の立場である。シンガポール生まれで、少年期は東京で暮らしたという経歴を持ち、それだけにアメリカにとってアジアの重要性を熟知している。「中国に対抗するためにもアジアへの関与を」と主張するのだが、トランプ政権内ではかならずしも主流派となっていない点には注意が必要だ。
経済政策の「理論的支柱」ミラン経済諮問委員会委員長
ミレニアル世代、その3人目。
経済政策の理論的支柱となっているのは、スティーブン・ミラン大統領経済諮問委員会委員長(40歳)である。マサチューセッツ州ボストン出身。ボストン大学からハーバード大学で経済学博士号を取得。そして財務省勤務を経てヘッジファンドへ。
そこまではよくある経歴だが、昨年11月に論文「国際貿易再構築のためのユーザーズガイド」を発表して注目を集めた。アメリカは覇権国として、世界に対して安全保障と基軸通貨を提供してきた。しかしその結果、アメリカの負担は増大し、特に必要以上のドル高によって製造業が衰退してしまった。そこでコストを同盟国に負担させるべく、関税と多国間通貨協定が必要であると説く。ドル高を是正する「マールアラーゴ合意」の発案者、と言えば話が早いかもしれない。
ここで多くの読者は、「おいおい、アメリカは基軸通貨国であるお陰でメリットも得ているじゃないか」と突っ込みたくなるだろう。①外国が外貨準備として米国債を買ってくれる、②その結果、アメリカの長期金利は低下する、③しかも為替レートを気にしなくていい、などである。日本のような国から見れば、しみじみ羨ましい。が、こんな風に「被害者意識」を共有している点が、今のトランプ政権内の気分である。
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