「高所得者は負担増!」厚生年金《上限引き上げ》で老後設計の常識はどう変わる?

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上限引き上げによって保険料の負担が増えれば、老後の年金も増えるのでしょうか?

厚生年金の年金額は加入期間や現役時代の標準報酬(給与・ボーナスなど)に応じて計算される「報酬比例部分」が中心です。収入および標準報酬の区分が高いほど、老後に受け取る年金額も高くなります。

ところが上述のように標準報酬には現行で月額65万円の上限があるため、受け取れる年金額にも上限があります。高所得になれば保険料が一律になるものの、老後に受け取る年金額も頭打ちになるわけです。したがって標準報酬の上限等級が引き上げられれば、年金額の上限も上がることになります。

厚生年金の加入期間中に月収75万円の期間が10年あったとした場合、この期間に相当する報酬比例部分の年金額は現行制度(標準報酬額の上限額65万円)では40万円弱になりますが、引き上げ後の上限額75万円で計算した年金額は約45万円になります。現役時代に納める保険料も高くなりますが、年金額も年6万円ほど増えることがわかります。

長生きするほど負担額は回収できる

増えた年金額は、終身にわたって受け取り続けられます。この例では現役時代の保険料の負担増は年に約12万円×10年間ですので、老後に年金を20年以上受け取れば回収できる計算です。

もっとも、現在の年金給付水準をもとにした試算ですので将来的に変わる可能性が大いにあります。また通常、現役期間中の収入は年による変動もあるでしょうから、保険料の負担も老後の年金額も個人の状況によって増減するはずです。

※本稿内では加入期間すべてを平成15年4月以降として試算しています。計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った金額を、平均標準報酬額としています。

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