ドライアイと運動の関係が明らかに? 最新研究で示された「生活習慣と目の病気の関係」。睡眠と緑内障の関係を解明した研究も
日々の食事が眼病の予防に役立つという研究もあります。
2019年、名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学・安川力教授が、「加齢黄斑変性の予防アップデート」と題した論文を眼科専門誌に発表しました。
論文では、加齢黄斑変性の前駆病変(本格的な病気として発症する前に生じる病変)が50歳以上の7人に1人の割合で認められました。その人たちへの治療指針として、禁煙、高血圧治療、肥満の改善のほか、緑黄色野菜の摂取、肉より魚を多く食べることなどを推奨しています。
また、ビタミンC ・E、亜鉛、ルテイン(ホウレンソウなど緑黄色野菜に多い色素成分)を組み合わせたサプリメントは、加齢黄斑変性の予防に有効であり、5年間で25%の予防効果が実証されたということです。
さらに、「白内障の手術後は、10年以内の加齢黄斑変性の発症率が約3倍になる」という疫学調査の結果を示しています。
この研究報告では、生活上の予防措置を怠ったまま治療を繰り返すより、開業医が予防の指導を行うほうが、QOL(生活の質)を保つという点で勝っているとも指摘しています。
目の病気の発症や悪化を防ぐには、当院で指導しているような生活改善が重要であるという記述があり、私は大いに意を強くしました。
これらの研究にあるように、運動や食事、睡眠にもスポットが当たり始めています。目の病気と生活習慣がいかに密接にかかわっているか、おわかりいただけたでしょう。
生活改善と標準治療の両方で目を守る
ただし、ここでひとつ押さえておきたいのは、治療は「西洋医学による治療か、生活改善か」といった二者択一ではないということです。
それぞれが良さをもっています。どちらかに固執することはありません。両方の医療から良い点を取り入れてほしいと思います。
「目の病気は早期発見、早期治療が重要」といわれますが、早期治療といっても、現在の標準治療はほとんどが対症療法です。根本的な治療ではありません。とはいえ、生活改善だけで病気が治るとも限りません。
レーザー治療や手術が有効な場合は、それを先に受けてから生活改善をするとよいでしょう。生活改善をすれば、体質が改善されて術後の経過がよくなり、再発も防ぎやすくなります。
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