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「内乱」という呪文に支配される韓国大統領選挙、李在明氏の余裕、盛り上がらない政策論争、台湾有事はスルー?

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  • 池畑 修平 青山学院大学地球社会共生学部教授
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そうした平沢の特殊性を意識してか、演説で李在明は「アメリカとの同盟は強化していく」とも述べた。ただ、台湾有事はスルーしますよと宣言しても米韓同盟に何ら影響を与えないと考えているのであろうか。ただでさえトランプ政権が在韓米軍の削減を検討しているのではないかと伝えられている中、彼の発言の「軽さ」は気になってしまう。

史上最低?の選挙戦

近年、多くの選挙で「政策論争は低調で…」という評価がメディアから伝えられるように思う。そうしたステレオタイプに落ち込みたくはないのだが、実際問題、今回の韓国大統領選では少なからぬ有権者から「史上最低」「票を投じたい候補が誰もいない」といった嘆きが聞こえてくる。ソウルの街中を歩いても、大統領選の盛り上がりはまるで感じられない。

李在明と金文洙の公約に似通っている点が多いうえに両者とも曖昧であり、テレビ討論でも各候補がライバルの人格を攻撃してばかりである。

選挙戦最終盤で何が最も話題かといえば、李在明の息子のネットでの書き込みに関して、李俊錫がテレビ討論で性的な発言をして大炎上したこと。また、李在明の息子がオンラインカジノに手を出して摘発された過去を捉えて国民の力が「李在明は一家全員が犯罪者」などとこき下ろしていること。掛け値なしで政策論争は低調なのだ。

それもこれも、元をただせば尹錫悦が戒厳令を出して韓国を(一晩かぎりであったが)恐怖の底に叩き込んだことに戻りつく。

かくして、選挙戦が終わるまで、李在明は「内乱を終わらせなければならない」と繰り返すだけで済む。政策に具体性を持たせようと頑張る必要がないのだ。なんとも空疎なムードのまま、韓国は投票日を迎えようとしている。

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