柿島:私の場合、白内障の手術で不同視は治ったのですが、実は最近になって右目の調子が悪くなり、「眼内レンズ脱臼」だと診断されました。どうやら網膜剥離の手術で入れた眼内レンズがずれてしまっていたようで……。
窪田:眼内レンズ脱臼は、確率としては低い合併症ですが、柿島さんの場合は幼少期の目のケガが影響していると思います。前回のお話で、小学5年生の時に目に野球のボールが当たったとおっしゃっていましたよね。
柿島:はい。すぐに病院に行って目薬をさして、安静にしていました。その時は、それで症状が治まったのですが。ただ、たしかに眼内レンズ脱臼になったのは、ボールが当たったほうの目です。
窪田:当時、右目の眼球が瞳孔が開くほどの衝撃を受けていたとすると、レンズが引っ張られた状態になり、それが原因でレンズがずれたと考えられます。つまり、子どもの頃に目にボールが当たったことで、レンズが入っている袋が脆弱になってしまい、網膜剥離の手術後に眼内レンズ脱臼を引き起こしたのではないかと。
柿島:袋が脆弱になるとはどういうことですか?
窪田:「水晶体」と呼ばれるレンズは、放射線状に広がる「チン氏帯」という紐にぶら下がっています。トランポリンのようなイメージで、その中心にレンズが入っている。ですので、目に何かがぶつかるなどの衝撃で支えている紐の一部が切れてしまうと、そのトランポリンのような袋の動きがしっかりと固定されなくなってしまうのです。紐が均等に張られていない、緩んだ状態です。そうするとレンズはずれやすくなります。柿島さんのようなケースでは、再度レンズを固定させる手術が必要になります。

近視は網膜剥離のリスクを高めるので、幼少期から予防を!
柿島:網膜剥離になると、人生が一変します。手術自体は1時間ほどで終わりますが、その後も不同視になったり、ものが歪んで見えたりと、長い期間にわたって目の症状に苦しみました。術後は予定していたステージをキャンセルしなければならないこともあり、仕事にも支障が出ました。