プーチンとゼレンスキー・人間的性格からみた戦争終結の行方、プーチンはゼレンスキーの没落まで徹底して待つ男だ

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国民がゼレンスキーに引導を渡そうとしたそのとき、戦争がはじまり、彼は汚職に立ち向かう大統領から、国を守る勇敢な大統領へと衣替えをし、ウクライナの英雄、世界の英雄になったのである。

それは彼にとっても不幸なことであったのかもしれない。敵はしたたかなプーチンであり、ドラマの中の大統領のように簡単にかなう相手ではない。

壊滅か?存続か?

まして、西側の代理戦争といわれるように、NATOやEUの東方拡大の道具にされたのでは、愛国の大統領ゼレンスキーというイメージも薄れる。

祖国のため、自由のために戦うという美名は美名として、2022年4月の停戦をイギリスの妨害で実現できず、2025年の停戦案でも欧米に翻弄されているとすれば、肝心の犠牲を強いられているウクライナ国民はどうなるのか、心配である。

ゼレンスキーは、ウクライナ人のこれ以上の犠牲を防ぐべく、そろそろ引退の時期を覚悟するしかないといえる。プーチンが、ロシアの完全勝利を信じ、ウクライナの完全中立化を考えているとすれば、停戦は望むべくもないだろう。

プーチンは一筋縄ではいかない手強い相手なのだ。術中にはまる相手を辛抱強く待ち、最後には仕留めるのだ。木村氏の次の言葉は、プーチンの性格をうまく表現している。

「まず彼らの馘(くび)を切るチャンスを辛抱強く待つ」(前掲書、97ページ)。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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