国民がゼレンスキーに引導を渡そうとしたそのとき、戦争がはじまり、彼は汚職に立ち向かう大統領から、国を守る勇敢な大統領へと衣替えをし、ウクライナの英雄、世界の英雄になったのである。
それは彼にとっても不幸なことであったのかもしれない。敵はしたたかなプーチンであり、ドラマの中の大統領のように簡単にかなう相手ではない。
壊滅か?存続か?
まして、西側の代理戦争といわれるように、NATOやEUの東方拡大の道具にされたのでは、愛国の大統領ゼレンスキーというイメージも薄れる。
祖国のため、自由のために戦うという美名は美名として、2022年4月の停戦をイギリスの妨害で実現できず、2025年の停戦案でも欧米に翻弄されているとすれば、肝心の犠牲を強いられているウクライナ国民はどうなるのか、心配である。
ゼレンスキーは、ウクライナ人のこれ以上の犠牲を防ぐべく、そろそろ引退の時期を覚悟するしかないといえる。プーチンが、ロシアの完全勝利を信じ、ウクライナの完全中立化を考えているとすれば、停戦は望むべくもないだろう。
プーチンは一筋縄ではいかない手強い相手なのだ。術中にはまる相手を辛抱強く待ち、最後には仕留めるのだ。木村氏の次の言葉は、プーチンの性格をうまく表現している。
「まず彼らの馘(くび)を切るチャンスを辛抱強く待つ」(前掲書、97ページ)。
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