"政権奪取の女神"か、それとも… 国民民主党の山尾志桜里氏擁立に禁じえない「8年前との既視感」

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前年の東京都知事選で219万票を獲得して大勝し、自らが率いる都民ファーストの会が都議選で大躍進を遂げた小池百合子知事は、希望の党を結成して国政に進出しようとしていた。それに民進党が乗っかろうとしていたところに、前述の「山尾騒動」が勃発した。

これが希望の党の勢いを削ぐものと判断した麻生太郎・副総理兼財務相兼金融担当相(当時)は、9月10日夜に渋谷区富ヶ谷の安倍首相の私邸を訪れ、1時間半滞在。「今こそ衆議院を解散すべき」と説いたとされる。

そして衆院選が実施された結果、自民党は284の現有議席を維持し、公明党の29議席を合わせると、圧倒的多数を制することができた。また、この年に自民党総裁の任期が「連続2期(6年)まで」から「連続3期(9年)まで」に変更されたため、2017年の衆院選で負けなかった安倍首相は、2018年の総裁選を有利に展開することになった。

条件関係的にいえば、「山尾騒動」は安倍政権を安定させ、長期政権化に寄与したのだ。

山尾氏をかばい続ける玉木氏の思惑

おそらく玉木氏は山尾氏の助力で国民民主党の勢いを増し、なるべく早期に政権を獲りたいに違いない。だからこそ、党内の異論はもちろん、世論の猛反対にも耳を貸さず、20日の会見で比例区にさらに10人を追加的に公認することを発表し、山尾氏によるダメージを薄めようとしているのだろう。

だが、比例区に多数の候補を追加しようとも、名前が知られている山尾氏の当選の可能性に変化はないだろうし、国民民主党が没収される供託金の金額がその分、跳ね上がるだけだろう。そして、政治に夢を抱いた多くの支持者が落胆するに違いない。ターニングポイントはすでに、ポイントオブノーリターンになっている。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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