「自分は純粋な被害者」職場のあちこちで"悪口吹聴する人"の衝撃的正体/「断れないんです」20代女性が”好きでもない人”と交際の理由

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どれも身勝手な要望であり、断ってかまわないはずなのですが、Iさんはすべて受け入れて従ってきました。しかもIさんは不満を抱えていたのに、です。

「どうして彼の言いなりになっていたんですか?」

疑問に思った私が尋ねたところ、彼女はこんなふうに答えました。

「だって、彼は私のことを必要としてくれたからです」

問題の利得に気づく

Iさんが抱えている問題には、どのような背景があるのだろう。

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私は彼女の親子関係について詳しく掘り下げていくことにしました。

Iさんの母親は病気がちで、子どものときから彼女が母親の面倒を見る役割を担っていました。

言い方を変えれば、彼女が歩んできたのは、自分の主張や欲求をひたすら我慢して母親を優先する人生です。そういう生き方を続けてきたせいで、母親が何を望んでいるのか、何に困っているのかしか考えられなくなっていました。

母親の役に立つことが生きる原動力であり、母親からの要求は受け入れるのが当たり前。その価値観を大人になっても持ち続けたので、男性からも都合よく扱われてしまったということです。

Iさんは母親に尽くすことで自分の存在意義を実感していました。

ところが、悲しいことに、Iさんが母親を助ければ助けるほど、彼女は母親から大事にされるどころか嫌われていました。なぜなら、母親は自分が病気のために家族の負担となっていることで無価値観を感じていたからです。

母親は、自分が家族の役に立てないことで無力感と怒りを抱えていました。その怒りを、あろうことか自分をサポートしてくれる娘にぶつけていたのです。

サポートしてくれるIさんを最大限に利用しつつ、彼女に嫉妬心を抱き、罵ったり嫌がらせをしたりしていたのです。

母親から怒りをぶつけられても、Iさんは母親にとって役立つ人間であることをやめようとしませんでした。役に立つことで居場所が得られると思っていたからです。

私はIさんに言いました。

「『私はお母さんの役に立っていたから生きていられる。お母さんの怒りさえも受け止めて役に立ち続ければ、私は自分の価値と居場所がもらえて安心・安全です』と自分の口で言ってみてください」

その言葉を口にしたIさんの目から、みるみる大粒の涙があふれ出しました。

Iさんは自分が抱えている問題の背景に母親との関係があったこと、相手の言いなりになることに利得を感じていた自分にようやく気づいたのです。

大鶴 和江 心理セラピスト、心理分析、心理セラピー講師

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おおつる かずえ / Kazue Ohtsuru

大分県生まれ。児童養護施設で8年間過ごした体験から、さまざまな心理学や心理療法を学び、2005年に独立。延べ1万人以上の心の悩みを解決し、現在も長野と東京を拠点として活動している。独自の心理療法「リトリーブサイコセラピー」を考案。問題の利得にフォーカスしたセッションは、「悩みがリバウンドしなくなる」と評判。著書に『自分を縛る“禁止令”を解く方法:見えない「利得」に気づくと、すべての問題は解決する』(大和出版)などがある。

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