過熱する「オーバーツーリズム」に考えられる対策 地域側と外国人観光客の「相互理解」がカギになる
たとえば、欧米などの他国に行くとゴミ箱があちこちに設置されているが、日本国内ではゴミ箱が設置されてないのでどこに捨てればいいのかわからないという声が多い。
一部ではあるが、グリーン車にあたるチケットを購入した乗客や常連客のために、駅内専用のラウンジを設置する国や地域もあるため、それを期待する外国人観光客もいるようだ。
また、温泉の場合は、水着で入って遊んでからシャワーを浴びるものだと認識している中国人も一定数いる。
外国人観光客、そして受け入れる側の双方の理解の乏しさが、お互いにとってアンハッピーな状況を作り出しているともいえる。
双方にとってハッピーな状態を作り出す
外国人観光客から見ると、日本には美しい四季があり、おもてなしも素晴らしく、何度でも訪ねたい観光地だ。一方で観光客が増えすぎることで、住民側が不満を抱くような状況を解消する必要もある。
世界各地も日本と同じような悩みを抱えており、さまざまな対策が取られている。例えば、イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館はアーリーバードチケットを販売することで、観光客を分散させようとしている。また日本においても、京都市観光協会はAIを活用して混雑状況の予測を発信している。
こうした物理的な対策だけではなく、観光客に自分たちのルールを伝える際の工夫も必要だ。ハワイでは積極的に地域の歴史・文化を発信し、観光客がハワイを訪れる前に、地域の特徴や習慣を理解してもらおうとしている。
観光客の中には、「マナーを守らない」のではなく、「知らない」だけだという人も多い。サービス提供側も、住民も、海外の文化や慣習を少しでも理解できるようにしておくと、効率よく文化の違いを周知することができそうだ。
訪日観光客が訪れることは、地域側がまだ気づいていない、価値のある観光資源に気づくヒントにもなる。相互理解を深めながら、地域と観光客の間で「来てよかった」「来てもらってよかった」と思えるような好循環が生まれることを願っている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら