過熱する「オーバーツーリズム」に考えられる対策 地域側と外国人観光客の「相互理解」がカギになる

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そもそも、オーバーツーリズムとは何か。観光客であふれかえる都市のイメージを抱くかもしれないが、世界観光機関(UN Tourism)の報告書では、「デスティネーション(旅行先)の全体またはその一部において、市民の生活の質、又は訪問客の体験の質に対して、悪い形で影響を及ぼすこと」と定義している。

つまり、受け入れ側のキャパシティの問題と、訪問者側の数などが不均衡になることで、双方がアンハッピーな状態に陥っているといえるだろう。

オーバーツーリズム
京都市、鎌倉市の事例。訪問者数が多い一方、キャパシティが足りていない状況が読み取れる(図:筆者作成)

筆者はインバウンドをテーマにして、10年以上47都道府県を回って視察を続けている。

免税手続きに不慣れな店舗だと30分以上かかるケース、または多言語対応ができる人がいないため、駅員や店員が対応に苦慮する場合もある。

外国人観光客の対応に慣れている、またはあまりにも観光客が来すぎてそれどころではない地域もあるが、こうした対応に慣れていない地域も一定数存在しているのだ。

観光客と地元住民の対立の背景

もう1つ観光客と地元住民の間で、アンハッピーな状況に陥っている要因として、外国人観光客に対する不信感、ということも考えられる。

筆者は観光業に携わっている複数の人たちから、「外国人観光客はマナーが悪いので、街中のごみが増えたと思う」「駅に行くと、座り込んでいる外国人がいっぱいで不快に感じた」「旅館の食事時間を守らない、シャワーを浴びずに温泉に入る観光客もいる。日本人のお客様に対して謝らないといけないし、外国人観光客にはルールを教えてあげるのにも労力がかかる。本当に来てほしくない」「スーツケースをゴロゴロして住民の邪魔だ」「お金をたくさん使ってくれるといいけど、声が大きいし何を言っているかわからないのでストレス……」といった話も聞いた。

たしかに日本の文化を十分に理解している外国人観光客は少ないかもしれない。そのため、来日する外国人側も日本のルールをよく理解する必要があるだろう。

一方で受け入れる側は、外国人観光客は来日した際に、そもそもどんなことで悩んでいるのか、日本の習慣に対してどのような点への理解が乏しいのかを考える必要もあるだろう。

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