人は「作家の食事」より「隣の献立」に興味があるものだから…エッセイストが伝授する"キラキラした自分史"の書き方
1つめは、「時間・時代」という要素が加わった場合に、おもしろくなるということです。あなたが「私の人生なんて平凡で書くことがない」と思い込んでいる原因はなんでしょうか?
「毎日勤めに行っては帰ってのくり返しで、目の前にある仕事をとにかく必死にこなしていただけ」
「家事や子育てに追われていて、特別な出来事はなかった」
おそらく、このように思われているのでしょう。まじめに日々を送っていた当時の自分を評価できるものの、やはりそんな人生はおもしろみに欠けている……。そう考えているのだと想像します。
しかし、その当時から時が変わると、平凡と思っていた生活、おもしろみに欠けると思っていた人生に、突如としてドラマ性が現れることがあります。
例えば、2024年4月から半年間放映された、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』の主人公のモデルになった人物。今でこそ、日本史上初めて法曹界に飛び込んだ女性として注目されましたが、1930年代当時のご本人の気持ちとしては、「教科書が重い」「寝坊した! 電車に乗り遅れる」「試験勉強が全然間に合わない」「最悪。お弁当の箸を忘れた」といった感じで、毎日をただただ必死に生き過ごしていただけではないでしょうか。
ましてや、100年近くの時を経た日本で、自らの人生が全国放送のテレビドラマになるなんて夢にも思わなかったでしょう。
同じようなことが、あなたにも起こる可能性があります。平凡だと思っている日々のくり返しが、後世の方たちにしてみたら注目に値するものかもしれません。
『秘密のケンミンSHOW極』がおもしろい理由
2つめは、「場所・地域」という要素が加わった場合です。
テレビの例を再び挙げて恐縮ですが、『秘密のケンミンSHOW極』(日本テレビ系列・讀賣テレビ放送)という人気番組をご存じでしょうか? この番組では、全国各地のさまざまな地域に特有の文化・風習・食・生活スタイルなどを取り上げ、それらの魅力を発信しています。そして、見ていて思わず笑ってしまうパターンがあります。
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