「なんだこの痛みは!」42歳男性を襲った足指の痛み。民間療法にはまった彼が「これは"ゼイタク病”なんかじゃない」と切実に訴えた"病”

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炎症が治まれば、今度は尿酸値を下げる薬を使うことになるが、実はここがターニングポイント。痛風は、腫れや痛みなどの症状が和らぐと「治った」と誤解しやすいが、尿酸の結晶が関節に残っている以上、治ってはいない。

放置するのはリスク

そのまま放置すると、くり返し激しい痛みに襲われる、足の親指の関節だけでなく全身の関節が痛くなる、薬で治りにくくなる、腎臓が悪くなる、心筋梗塞や脳梗塞になりやすい――といったリスクが出てくる。

「痛風と診断されたら、5年ほどは尿酸値を下げる薬で治療しなくてはなりません。合わないなら別の薬もあるので、ぜひ医師に相談してほしい」(菊池医師)

治療で尿酸値が下がり、痛風発作が起こらなくなった患者さんも多数いると、菊池医師。ただし、痛風を治すためには薬だけでなく、生活習慣を整えることも大切になる。

「牛肉や豚肉など脂質の多い肉類、魚介類を大量に食べないようにして、体重を落としましょう。反対に大豆製品でタンパク質を、昆布などの海藻類やゴボウなど根菜類で食物繊維をしっかり摂るといいでしょう」(菊池医師)

お酒はどうすべきか。よくビールをやめてハイボールやサワー類にするといいと聞くが、菊池医師は「本当は飲まないのが一番。難しい場合はプリン体ゼロのお酒を選んでください」と言う。

一方、腎臓が悪くないなら、血液中の尿酸が濃くならないよう水はたっぷり飲んだほうがいいという。特にこれからの暑い季節、飲酒時は脱水に陥りやすいので、こまめに水分補給をしたい。

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菊池医師は、最後にこんなアドバイスをくれた。

「痛風は、尿酸の値通りに症状が出るとは限りません。健康診断などで指摘された場合、痛みがある場合は、早めに総合診療科や内科を受診しましょう。早めに適切な治療を開始すればスムーズに治すことができますし、ほかの病気もチェックできます」

痛風になりやすい40〜60代は、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、さまざまな生活習慣病になりやすい時期でもある。早めの受診で、健康維持に努めたいものだ。

菊池 大和 きくち総合診療クリニック

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きくちやまと / Yamato Kikuchi

2004年、福島県立医科大学医学部卒。浜松医科大学附属病院にて初期研修医。磐田市立総合病院外科、国立がんセンター東病院呼吸器外科、湘南東部総合病院外科科長・救急センター長、座間総合病院総合診療科などを経て2017年、土日も診療を行う総合診療クリニックであるきくち総合診療クリニックを開業。小児から高齢者まで、救急医療も行い、あらゆる症状を診る「総合診療クリニック」が全国に広がることを目指し、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

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大西 まお 編集者・ライター

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おおにし まお / Mao Onishi

出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、宋美玄 著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

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