そこでまず試したのが、ひたすら玉ねぎをたくさん食べる、牛乳をたくさん飲むという方法だ。玉ねぎはパスタソースに大量に入れたり、そのままグリルにしたり、オーブン焼きにしたりして大量に食べた。牛乳もまめに飲むようにした。
だが、まったく効かない。
「やっぱり痛風発作は起きるんですよね(笑)」(高石さん)
さらに海外の記事で見た、痛風の発症時に“輪切りにした玉ねぎを足の甲と裏に貼ってサランラップで巻いて寝る”という、あやしげな民間療法も実行してみた。
「見た目はぶざまだし、布団が玉ねぎ臭くて最悪なんですけど、これは何度もやりました。薬は頼りたくないけど、玉ねぎには頼りたい。ただ、これも効いていなかったですね」(高石さん)
その後も、田七人参や高麗人参が含まれている“漢方”を飲んだり、カフェインがいいからとコーヒーを飲んでみたり、ビールの代わりにハイボールを飲んでみたり、いろいろ試してみたという。
「だけど、何をしても見事に痛風発作が起きちゃうんです」と高石さん。
病院に行かない理由
あれから10年。
高石さんは年1〜2回のペースで痛風発作に見舞われている。時期は7〜9月頃が多く、「すごく汗っかきで夏は尿の量が減って濃くなるから、発症しやすいのではないか」と思っているそうだ。
痛風発作は回数を重ねるごとに、より痛く、より長くなっているという。
「初めて痛風になったときは4〜5日で治ったのに、その後は10日〜2週間くらい痛いまま。しかも、近年は痛すぎて一歩も動けない。だから、トイレの横で寝起きしてきました」(高石さん)
尿酸値を下げるために水をたくさん飲む。するとトイレに行きたくなる。ところが足が痛くて歩けない。よって、トイレの横で寝ることになる。
痛風発作が起こると通勤も困難になるため、数日間はリモートワークにしたという。「コロナ禍以降、自宅で仕事をすることが普通になったのは、とてもありがたかった」と高石さん。
これほど大変な思いをしているにもかかわらず、病院に行かないのはなぜか。
「う〜ん、なぜですかね。なんとなく病院に行っても仕方がないという気持ちがあるのかもしれません。あとは年1回、2週間くらい、鎮痛薬を飲んでがまんすればいいと思っているからですかね。いったん痛みがなくなると忘れてしまうので……」(高石さん)