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「なぜそんなに悩むのだろう」…いつまでも答えが出せない人は、じつは何も"考えてない"といえる根拠

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  • 小川 仁志 哲学者、山口大学国際総合科学部教授
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他者の意見は、あくまでも参考意見として聞き、最終的には自分自身の価値観に基づいて選択することができるようになるはずです。

「自己決定」と「幸福感」の深い関係

この「自分で決める」という行為の重要性は、実は科学的にも裏付けられています。

近年、神戸大学・同志社大学に所属する研究者らが行った国内2万人規模の調査「幸福感と自己決定–日本における実証研究(改訂版)」(20〜69歳対象)によると、主観的幸福感を高める要因として、「健康」や「人間関係」に次いで「自己決定」(自ら進路を選択した度合い)が強い影響力を持つことが明らかになりました。

特筆すべきは、所得や学歴よりも、「自己決定」の度合いのほうが、幸福感への寄与が大きいという結果が出たことです。自分の判断で自分の道を選ぶことは、高い所得を得ることや名門大学を卒業することよりも、幸福感に強く関連していたのです。

さらに自己決定によって進路を決めた人は、より前向きに努力し、成果を出す可能性も高くなり、結果に対して責任、誇りを持つ傾向があるとのことでした。

日本社会全体では「人生の選択の自由」が低いとされる中で、自己決定度の高い人ほど幸福度が高いというのは、非常に重要な知見です。

また、「最後は自分で決める」という原則を自分の中に持っていると、どんな選択をするときでも「自分で決めた」という主体性が芽生えます。

たとえば、会社で上司から「あれをしろ」「これをしろ」と言われ、命じられるままに仕事をやっていても、なかなか満足感は得られないでしょう。その挙句、うまくいかなかった場合には、「上司が言うとおりにやっただけだ」などと言い訳をするばかりで、反省も成長もしないのではないでしょうか。

でも、自分の意思で始めた仕事、「自分がこうしたい」と決めて取り組んだ仕事であれば話は違います。

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【失敗しても「次」につながる】

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